(東京新聞 2011年5月9日 22時17分)
太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーは、最大で2050年の世界のエネルギー消費の77%を供給できる可能性があり、温室効果ガスの大幅な排出削減に貢献できるとの特別報告書を、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が9日、発表した。
今後各国で投資が拡大するのに伴って、発電コストも大幅に低下すると予測。福島第1原発事故を受け、日本でも関心が高まっている再生可能エネルギー開発への追い風となりそうだ。
報告書は、太陽光や風力のほか、バイオマスや地熱、小規模な水力発電、波力や潮力といった海洋エネルギーなどについて、今後の成長の可能性を技術面と経済面から検討。さまざまなシナリオに基づいて50年までの推移を予測した。
(共同)
国連「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は9日、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで、2050年の世界のエネルギー消費量の最大77%をまかなえる可能性があるとした特別報告書を公表した。福島第1原発事故の影響で化石燃料の使用量が増え、温室効果ガスの排出量増加が懸念されるが、「再生可能エネルギーの温暖化対策への貢献度は原子力発電などより大きい」と指摘し、各国に導入拡大を促す格好になった。
日本を含む各国代表が、アブダビで開かれた会合で報告書の内容に同意した。
報告書は、同エネルギーの現状や今後の導入予測などを164通りの科学的な見通し(シナリオ)に基づいて分析。08年時点では世界の1次エネルギー供給の13%だが、供給可能性の「97%は未利用」とした。
また50年までに、二酸化炭素換算で最大5600億トンもの温室効果ガス削減につながる可能性があり、対策をとらない場合に比べ、排出量は3分の2に減量できるとした。【江口一】
毎日新聞 2011年5月10日 0時34分