上限250ミリSV超の被ばく確認 内部被曝が外部の3~8倍

東京電力や保安院の放射線被ばく管理のずさんさが浮き彫りになっていますが、この報道で重要なのは【外部被ばく74ミリ】に対して【内部被ばく210~580ミリ】 つまり、内部被ばくは外部被ばくの3~8倍もあったということです。

政府が内部被ばくを軽視した場合、その影響は将来、取り返しのつかない事態を招くことになるでしょう。特に、放射線の被害を最も受ける子どもたちへの影響は 甚大です。

東電2社員 被ばく250ミリシーベルト超確認 
(2011年6月4日 07時07分 東京新聞)

 福島第一原発で運転員として勤務していた東京電力社員二人が多量の被ばくをした問題で、東電は三日、二人の内部被ばく線量は少なくとも二〇〇ミリシーベルトあり、外部被ばくと合わせると、今回の事故で緊急的に設定された上限値二五〇ミリシーベルトを超えることが確実になったと発表した。事故発生以来、初めての上限超えとなった。

 二人は甲状腺に放射性ヨウ素131が他の作業員の十倍前後も蓄積されており、放射線医学総合研究所(千葉市)が被ばく線量を調べていた。

 放医研は、三月十一~三十一日の間、平均的にヨウ素を体内に取り込んだ場合と、十一、十二の両日に集中的に取り込んだ場合とに分けて推定。ヨウ素の半減期(約八日)から逆算し、三十代男性の内部被ばくは二一〇~五八〇ミリシーベルト、四十代男性は二〇〇~五七〇ミリシーベルトと推定した。

 外部被ばく量は三十代男性が七三・七ミリシーベルト、四十代男性が八八・七ミリシーベルト。仮に内部被ばくが最低値でも、二人とも計二五〇ミリシーベルトを超え、最大では計六五〇ミリシーベルトを超える。

 二人は3、4号機の運転員で、三月十一~十五日は原子炉建屋内のバルブ操作や監視、中央制御室での作業に従事。その後も数回、データ回収のため中央制御室に入った。

 放医研によると、二人は特に治療の必要はないが、継続的に検査する。明石真言(まこと)理事は「マスクなどが十分であれば、(被ばく事故は)起きない。内部被ばくは防護でゼロにできる」とし、東電の労働環境の整備が不十分だったとの認識を示した。

 東電は、二人と同様の作業をしていた約百五十人についても状況を調べ、再発防止策を検討する。今回の事故では三月下旬、3号機のタービン建屋で足がたまり水に漬かり、二四〇・八ミリシーベルトを被ばくした協力会社社員の事例が最高値だった。

(東京新聞)

東電社員2人の被曝線量、上限の250ミリシーベルト超す
( 2011/6/3 21:04 日本経済新聞)

 東京電力は3日、福島第1原子力発電所の事故直後から作業をしていた男性社員2人の被曝(ひばく)線量が、今回の事故に限って適用される国の限度量の250ミリシーベルトを初めて超えたと発表した。放射性物質を体内に取り込んだ「内部被曝」の量を加えると、約280~660ミリシーベルトになった。東電の作業員に対する放射線管理のずさんさが改めて浮き彫りになった。

 線量限度を超えたのは30代と40代の男性社員。専門の医療機関で5月30日に検査を受け、甲状腺にたまった放射性ヨウ素量の分析を進めてきた。

 30代の男性は内部被曝が210~580ミリシーベルト、40代の男性は200~570ミリシーベルト。すでに2人とも73~89ミリシーベルトを外部被曝しており、少なく見積もっても限度量の250ミリシーベルトを超える。


東電2社員・250ミリシーベルト超 甘い対策、現場悲鳴
 ◇「放射線管理員、来ない」「上限上がり怖い」
(毎日新聞 2011年5月31日 東京朝刊)

 東京電力福島第1原子力発電所で復旧作業にあたっている東電社員2人が、緊急時の上限250ミリシーベルトを超える被ばくをしていた疑いが強まった。しかも、放射性物質を体内に取り込む「内部被ばく」が大半とされる。取材に応じた作業員らの証言からは、現場の汚染がひどく、対策が追いついていない実態が浮かぶ。労災問題の専門家は「このままでは健康被害が深刻化する」と警告している。【町田徳丈、池田知広、日下部聡】

 「放管」。作業現場に元請け会社などから派遣される「放射線管理員」はそう呼ばれるが、下請け会社のベテラン作業員(64)は「最近、放管が来ないケースが増えている」と話す。

 放管は、作業員が過度の被ばくをしないよう現場で放射線量を計測し、平常時なら汚染レベルの高い区域での作業には必ず同行していた。だが、今は朝のミーティングで元請けから前日の調査結果を知らされるだけで、放管が同行しないこともしばしばという。「高線量のがれきが転がっていて(放管が同行しないと)不安なんだけどね」と男性は言う。

 40代の男性作業員は「放管がいないと自分がどのくらい放射線を浴びているのか現場で確認できない」とこぼす。線量計は防護服の内側に付けるために見られず、積算線量が上がったことを示すアラームが鳴っても全面マスクのため聞こえないこともある。緊急時の作業における被ばく線量の上限は以前の100ミリシーベルトから震災後は250ミリシーベルトまで引き上げられた。男性は「どんどん上げられて、怖いですよ」と漏らした。

 放管の男性(56)は「自分たちが同行していないと、現場で急に線量が上がった時に対応できない。汚染区域が広過ぎて明らかに放管の数が足りない」と懸念する。

 内部被ばくについても、多くの作業員から不安の声が上がる。下請け会社の男性(28)は「全面マスクを顔に密着させると、締め付けられて頭が痛くて仕事にならないから緩めに着ける人が多い。だから隙間(すきま)から(放射性物質が)入り込む。装備にも問題があるのでは」と指摘する。

 放射線量の上限については元請けや下請け会社のほとんどが数十~100ミリシーベルトと独自の基準を設ける。ある元請け会社の幹部は「250ミリシーベルトの東電社員が一番厳しい環境に置かれているかもしれない」と話した。

 原発の労災に詳しい片岡明彦・関西労働者安全センター事務局次長は「マスクの装着状況など内部被ばくに対する防護がずさんだった疑いがあり、チェック態勢を強化する必要がある」と指摘。緊急時の上限については、過去に労災認定された原発作業員の大半の総被ばく線量が100ミリシーベルト以下だったことを挙げ「少なくとも引き上げ前に戻し、国と東電は綿密に健康リスクを考慮しながら作業計画を立てるべきだ」と訴えている。
 ◇マスク着用、励行不明

 福島第1原発では今月上旬までに、女性社員の累積被ばく量が限度(3カ月で5ミリシーベルト)を超えていたことが発覚。東電は25日、経済産業省原子力安全・保安院から厳重注意を受けたばかりだった。一進一退の復旧作業が続く現場環境の厳しさとともに、東電の放射線管理の甘さが改めて浮き彫りになった。

 2人の外部被ばくは基準内だったが、甲状腺に取り込まれたヨウ素131は約8000~1万ベクレルで、その量から推定される内部被ばくは数百ミリシーベルトになる可能性がある。

 内部被ばくの健康影響について、丹羽太貫(おおつら)・京都大名誉教授(放射線生物学)は「(甲状腺に異常が出る)バセドー病では治療のために数億ベクレルのヨウ素131を投与する。思春期以下の若年層を除けば、これによって甲状腺がんの発症リスクが目立って増すとは考えにくい」と話す。

 一方、安斎育郎・立命館大名誉教授(放射線防護学)は「白血球の一時的な減少や、がんの発生確率がわずかに上がることが考えられる。今後、長期にわたって2人の健康を管理する必要がある。内部被ばくの限度を事前に設定していないとすれば不備だ」と批判した。

 防護策は万全だったのか。東電によると、2人は3月12日以降は防護マスクを着用したが、その後励行していたかは不明。さらに内部被ばくを抑えるヨウ素剤の服用を怠っていた。東電が25日に受けた厳重注意では、マスクが必要な場所なのにマスクなしで作業していたことなどが指摘された。

 内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は30日、「東電にしっかり管理してもらいたい」と苦言を呈した。放射線医学が専門の久住(くすみ)静代委員も「線量が高い中、全面マスクをしながらの作業で十分に内部被ばくが防げるのか常に危惧している。どのような環境で起きたか詳細に報告してほしい」と注文をつけた。【比嘉洋、久野華代、西川拓】

毎日新聞 2011年5月31日 東京朝刊


福島第1原発事故 1号機原子炉建屋で最大1時間あたり4,000mSvの高い放射線量を確認 (FNNニュース 動画)

東京電力は、福島第1原発1号機の原子炉建屋を調査したところ、最大で1時間あたり4,000ミリシーベルト(mSv)の高い放射線量が確認されたことを明らかにした。
東京電力によると、1号機の原子炉建屋を3日、無人ロボットで調査したところ、床から湯気が出ている場所が見つかり、この近くで1時間あたり4,000ミリシーベルトの高い放射線量が確認された。
また周囲でも、1時間あたり2,000?3,000ミリシーベルト程度の高い線量が測定されたという。
また1号機については、事故発生の翌日、放射性物質を含む蒸気を放出する「ベント」と呼ばれる作業が実施される前に、核燃料が損傷しないと外部に出ない放射性物質が、すでに検出されていたことを、原子力安全・保安院が3日、明らかにしている。
一方、2号機の原子炉建屋は、高い湿度や温度のために作業が困難な状況だったが、使用済み燃料プールの冷却が進んだことを受けて、東京電力は4日、原子炉建屋に作業員が入って湿度などを測定する予定。

(06/04 12:04)

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