国にエネ政策転換迫る 世論調査 原発「大いに不安」65%
(6月19日 西日本新聞)
【解説】廃炉を進め、原発依存の政策からの脱却を支持する人が82%に上がった日本世論調査会の調査結果は、福島第1原発事故が社会にもたらした不安の大きさを如実に物語る。「原子力離れ」の流れは鮮明で、原発をエネルギーの柱として推進してきた国の政策は、早急な見直しを迫られている。 【1面参照】
今回の事故で、原発の信頼性は地に落ちた。事故前には「不安を感じていなかった」人が57%だったが、事故後は6%に激減。代わりに「大いに不安」との回答は17%から65%に跳ね上がった。今後の新設、増設にも3人に2人が「NO」を突きつけている。
一方、調査結果は「脱原発依存」の志向が一過性のものでないことも示している。廃炉を支持する人の中で84%は、電力不足による不便な生活を「受け入れられる」と答えており、これまでの暮らしを見直してでもエネルギー政策の転換を求める意思が示された意味は重い。
原子力の代替手段として期待が集まる「再生可能エネルギー」の発電割合はわずか1%程度。現状が調査結果に表れた意思と懸け離れているのは明らかだ。国は、脱原発も含めた根本的な政策見直しを急ぎ、具体的で実現可能な筋道を国民に示す必要がある。
不便な生活でも 8割 「受け入れ」
既存原発の一部または全部の廃炉を「支持」する人や、原発の新設、増設に反対する人たちの多くは電力不足を危惧する一方で、不便な生活は「受け入れられる」と回答した。現在の生活水準を下げてでも「脱原発」を積極的に進めるべきだとの考えが根強いことがうかがえる。
既設の原発を「直ちに廃炉」「定期検査で廃炉」「電力需給に応じて廃炉」と回答した人のうち、電力不足について「大いに不安がある」「ある程度不安がある」としたのは計83%。「原発の新・増設をしない」とした人の中でも計82%が同様に不安を訴えた。
一方、電力不足で暮らしが不便になることを「受け入れられる」と回答したのは全体で80%。廃炉「容認」や新・増設をしないと答えた人に限るとそれぞれ84%に上がった。
原発の新・増設を進めるべきだと回答した人の中では、不便な生活を「受け入れられる」が59%、「受け入れられない」は40%だった。