関西電力は23日、福井県内の原発再稼動について、隣接する京都府の了解が必要とする安全協定の締結について、府と協議する考えを表明した。隣接自治体で初めての安全協定となる。
京都府、関電と原子力安全協定で協議会 避難地域拡大に対応
(日本経済新聞 2011/6/23 23:49)
京都府の山田啓二知事と関西電力の八木誠社長は23日昼、京都市で会談し、福井県内の原発再稼働などについての原子力安全協定を検討する協議会を今秋にも設置することで合意した。東日本大震災では想定より広域的な原子力災害が発生したため、府は安全上の観点から原発の稼働に関しての事前承認権などを求める構えだ。
八木社長は約1時間の会談後、記者団に「国の防災指針策定の動向をみながら、京都府と協議に入ることで一致した。ただ、協定締結が前提ではない」と語った。
原子力安全協定は電力会社と自治体の間の任意協定。協定内容は増設・再開に関する事前承認権から立ち入り調査、防災対策の協力などまで多岐にわたる。これまでは、立地自治体と電力会社とが結んでおり、隣接自治体が結べば初めてとなる。
府は22日、これまで災害時の連絡義務を定めた通報協定を「福井に準ずるような協定」に格上げするよう求めたが、「何を要求するのかはまったく白紙」(危機管理防災課)の状況だ。原発稼働に関わる強力な権限である事前承認権は、関電側の反発も予想されるため、今後内容を検討する。
京都府のように立地自治体に隣接する自治体が新たに避難地域となるケースは全国的にも多数あるとされる。住民の安全確保の観点からどういった権利関係を築くのか、府と関電の協議は試金石となりそうだ。
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京都府と関電、原子力安全協定を協議へ (朝日新聞)
2011年6月23日13時33分
関西電力の八木誠社長は23日、夏の節電対策や原発の安全確保について、滋賀県の嘉田由紀子知事、京都府の山田啓二知事と相次ぎ会談した。山田氏は、全国最多の原発15基(1基は解体中)を抱える隣接の福井県と同様の原子力安全協定を府側とも結ぶよう求め、八木氏は協議の場を今秋にも設けることを約束した。
会談はいずれも非公開で開かれた。山田氏は、原発のトラブル発生時に原子炉の停止を求める権限や、再稼働時に自治体の了解を得ることを定めた原発立地県と電力会社との安全協定に言及。「いま府と関電が結んでいるのは安全通報協定。これを安全協定にしなければいけない」と求めた。これに対し、八木氏は「時間がかかる問題。国の防災計画見直しを踏まえながら検討する」と述べ、双方による協議の場を設けることで合意した。
一方、嘉田氏は運転期間が40年を超した美浜原発1号機(福井県美浜町)の早期停止を求めた。しかし、八木氏は「福島の事故でも高経年化(老朽化)ゆえに事故に至ったという報告は出ていない」と述べ、同1号機を引き続き運転させる考えを表明。自然エネルギーへの転換についても「電力の安定供給のために原子力は重要な電源だ」との立場を崩さなかった。