玄海原発(佐賀県玄海町)の県民説明番組をめぐる九州電力の「やらせメール」問題発覚から一夜明けた7日、同社本店(福岡市中央区)には、「原子力発電をやる資格はない」など、市民からの抗議電話やメールが午前中だけで数百件殺到、社員たちは対応に追われた。
九電によると、この日は朝から電話が鳴りやまない状態が続いた。「メールは誰の指示で送信されたのか」「事実関係を明らかにしろ」など、抗議や苦情がほとんどだったという。
本店では午前8時50分の業務開始を前に、社員が硬い表情で出社。報道陣から質問されても、「すいません」の一言だけで足早に立ち去った。男性社員の一人は「ちょっと状況がよく分からない」と話し、店内に急いだ。
本店前では、脱原発を求めて座り込みを続ける市民グループ「原発とめよう! 九電本店前ひろば」の青柳行信代表(64)が「やらせは組織ぐるみとも言える。市民の声に耳を傾け、取りあえず原発は停止して」と訴え。メンバーの大学院生の女性(25)=福岡市城南区=は「やっぱりかという感じ。『原発は安全』というのも真っ赤なうそだと分かった」と憤った。
=2011/07/07付 西日本新聞夕刊=
玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働をめぐる九州電力の「やらせメール」問題で、九電の真部利応(まなべとしお)社長は7日朝、西日本新聞の取材に対し「早急に調査結果をまとめて今週中にも上京し、国に説明する」との考えを明らかにした。スケジュールを調整した上で8日にも海江田万里経済産業相や経産省幹部と面会し、説明、陳謝したい意向。
責任の取り方については、海外出張中の松尾新吾九電会長や国の意向も踏まえ、自らの進退も含め近く判断するとみられる。真部社長は取材に対し「まずは調査をしっかりやることが重要」とする一方、「すぐに投げ出していいのか、ということがある。責任の取り方にもいろいろある」と述べ、報酬カットを含め検討する意向を示した。
九電によると、玄海原発再稼働に地元の理解を得るため、国が6月末に放送した「説明番組」の前に、九電の本店課長級社員が、再稼働に賛同する意見を一般市民を装ってメールで同番組に投稿するよう社内や関連会社にメールで依頼していた。
=2011/07/07付 西日本新聞夕刊=
大阪府の橋下徹知事は29日夜、記者団に、原発を推進する経済産業省や関西電力について、「電気が足りないから原子力が必要というのは、完全な霊感商法だ」と批判した。
これに先立つ会見では、「真夏のピーク時に限って(電力使用量を)下げることが大事。電力安定供給のために原発が必要との理屈にだまされてはいけない」とも述べた。
一方、関電の株主総会で平松邦夫・大阪市長が新エネルギー開発を求めたことについては「行政の長として発言する機会はたくさんあり、株主総会で意見を言う意味が分からない」と批判。「日ごろ、都市間連携(の重要性)を言っているのだから、こういう時こそ神戸や京都と連携して効果を狙うべきだった」と注文した。【堀文彦】
毎日新聞 2011年6月30日 0時46分