50年ほど前に、原発で使用する核燃料として鳥取県と岡山県にまたがる人形峠でウラン鉱石が採掘されたが、そのときに大量のウラン残土が残され、その処理をめぐって、今も問題が続いている。
◇放射線量「県独自に測定を」
日本原子力研究開発機構(本部・茨城県)が、鳥取県で出たウラン残土で作ったれんがの受け入れを鏡野町が了承したことを巡り、「県平和・人権・環 境労組会議」(梶原洋一議長)など環境・市民11団体が3日、石井正弘知事に県内へのれんが持ち込み拒否などを求める申し入れ書を提出した。【松井豊】
申し入れ書によると、「れんがの放射線量が放射線障害防止法で定める規制値を超え、安全性に疑問がある」として、県内への持ち込み拒否▽鏡野町にれんがを持ち込む同機構に対する抗議姿勢を示す▽鏡野町に受け入れ方針を転換するよう指導する??の主に3点を求めている。
対応した県環境政策課の稲村義博参事は、先月28日の定例会見で石井知事が述べた「鳥取県がいらないものを、岡山県は受け入れられない」との姿勢が県の基本方針と説明。「県の立場を理解してもらえるよう、機構側や鏡野町に引き続き意向を伝える」と答えた。
れんがは約100万個製造する計画で、鏡野町は町内の施設でれんが約3万個を使うことに同意している。鳥取県三朝町でも、約2万個の受け入れを決 めている。団体側によると、機構の発表ではれんがの放射線量は平均毎時0・22マイクロシーベルトだが、昨年8月の団体の調査では、0・40マイクロシー ベルト、0・65マイクロシーベルトを計測したれんがもあったという。こうした経緯を基に、団体側は「機構の発表には疑問があり、県独自で放射能測定を実 施して県民に公表すべきだ」とも要望した。
「放射能のゴミはいらない! 県条例を求める会」の西江清吾さんは「れんがの市販はすでに始まっており、県にはこれまで以上に鏡野町に強く指導してほしい」と話した。
鳥取・ウラン残土問題:れんが「持ち込み拒否を」 11団体、知事に申し入れ /岡山
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ウラン残土レンガと放射能の基礎知識(京都大学・原子炉実験所 小出裕章)
ウラン採掘と人形峠旧ウラン鉱山