福島県民ら、原子力災害現地対策本部と初交渉
「選択的避難」政策、サテライト疎開による子どもの被ばく低減を提案
================================
共同プレスリリース
2011年7月19日
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
国際環境NGO FoE Japan
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
グリーン・アクション
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
————————————————
上記6団体は7月19日、コラッセ福島(福島県福島市)で、原子力災害現地対策本部と交渉を行いました。福島県民を中心に130人が集まり、「子どもの被ばく低減のため、選択的避難(注1)、サテライト疎開(注2)を含むあらゆる手だてを」と要請しました。
(注1)住民が自らの判断に基づき避難を行うことを、正当な賠償の支払いや行政措置などにより保証していくこと
(注2)学校や支所などを核とする疎開者コミュニティの形成により、福島県人として疎開地で福島人として暮らすこと
今回は、福島で行われた初めての市民団体主催の政府交渉でした。市民団体側は、前述の要請や事前に出した質問に責任をもって答えられる政府側担当者を求めていましたが、実現しませんでした。出席した原子力災害現地対策本部室長・佐藤暁氏は、放射能汚染によって避難を強いられた住民の訴えを前に、「自らの判断で避難するのは勝手」と発言しました。これは、避難を強いられた住民の苦悩をかえりみることなく、すべてを自己責任にしてしまっていることで、政府の責任を放棄したものです。
現在、福島県の福島市、郡山市などは避難区域などには指定されていません。しかし、例えば福島市渡利地区平ヶ森は福島市が6月中旬に行った測定でも毎時3.2~3.8マイクロシーベルトで、国が避難の基準としている積算被ばく線量年間20ミリシーベルトを超える恐れがあり、交渉の中で、市民団体側は、早急な避難区域の設定および説明会の開催を求めました。
子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの中手聖一代表は「故郷の除染が進み帰れるようになるまで、疎開地で福島人として暮らす、サテライト疎開を実現させたい」と訴えました。
同ネットワークの除染プロジェクトの河原田昌治さんは、「除染は行わなければならないが、その間だけでも子どもたちは避難させてほしい」と訴えました。
さらに同ネットワークの佐藤幸子さんは事前に集めた福島県民の尿を現地対策本部に渡し、「子ども全員の尿検査をしてください」と分析を迫りました。対応した佐藤暁室長は「受け取る立場にない」と尿の受け取りを拒否しました。尿は同席した現地対策本部・医療班(放射線医学研究所)の山田裕司氏に渡し、検査を実施すること、またそれに関して回答をすることを求めました。
交渉中、「子どもの成長に大切な、日光を浴びること、草花を摘むこと、虫を取ることをさせられない親の気持ちがわかりますか。子どもと私は避難します。夫はローンのため、避難する子どもと私の生活費を稼ぐために福島に残ります」と参加者が号泣しながら訴える場面もありました。
中手代表は、「今日は対話の第一歩。今後、サテライト疎開について自治体とも協議を進めていく」としています。主催団体は、自主避難への補償の支払いや公的支援、サテライト疎開、給食の食材の放射線測定などの被ばく低減策の要請について、今後とも粘り強く交渉を進めていきます。
配布資料:
資料1:質問項目と交渉のポイント
資料2:福島市における空間線量と測定ポイント
資料3:福島市における土壌汚染
資料4:「私たちの声をきいて下さい!」
避難者、避難を考えている住民からの意見
資料5:「選択的避難」政策の必要性