(西日本新聞7月20日朝刊)
原発推進へ 指南書 91年に旧科技庁が作成委託
報道機関、教育現場対応など列挙
世論対策、連綿と から抜粋
九州電力玄海原発2、3号機の運転再開をめぐる九電の「やらせメール」問題は、意見投稿の例文集を取引先に渡すなど、電力会社による世論操作の実態を白日の下にさらしたが、原発にからむ世論対策は今に始まったことではない。チェルノブイリ原発事故後、旧科学技術庁(現文部科学省)が原発推進のため、政府機関や電力会社向けに”指南書”を作成していた。そこには、国民や報道機関、教育現場に原発の必要性を浸透させるための具体例が列挙されている。
「原子力PA方策の考え方」の主な記述
市民対応
「原子力はいらないが、停電は困る」という虫のいい人たちに正面から原子力の安全性を説いて聞いてもらうのは難しい
父親層がオピニオンリーダーとなった時、効果は大きい。父親層を重要ターゲットと位置付ける
主婦の場合、自分の周りに原発がなければ、他人事としか受け取っていない
子ども向けには、漫画を使うなどして必要性に重点を置いた広報がよい
マスコミ対応
広報担当官(者)は、マスコミ関係者との個人的つながりを深める努力が必要ではないか。接触して、いろんな情報をさりげなく注入することが大事だ
人気キャスターをターゲットにした広報を考える
タイミング
何事もない時の広報は難しい。事故時を広報の好機ととらえ利用すべきだ。
夏でも冬でも電力消費のピーク時は話題になる。必要性広報の絶好機である
広報の頻度
繰り返し繰り返し広報が必要。新聞記事も読者は3日すれば忘れる。繰り返し書くことによって、刷り込み効果が出る
”指南書”は、文科省と健在産業省所管の日本原子力文化振興財団が科技庁の委託で1991年にまとめた報告書「原子力PA方策の考え方」。PA(パブリック・アクセプタンス)とは、「社会的合意形成」の意味で、財団によると、文書の配布先は不明