日頃の皆様のご愛顧に心よりお礼を申し上げます。おかげさまで、1987年にウインドファームの前身である有機農産物産直センターが設立されて以来17年目の今日まで、 農薬や化学肥料に依存しない有機農業の普及事業を継続することができました。
今回で11号となる「エコロジーの風」は、新たな編集スタッフの参加を得て、フェアトレード、スローライフをテーマとする総合情報誌として新しく生まれ変わりました。昨年亡くなられたジャカランダ農場のカルロス・フランコさんの追悼特集と2002年にインタグコーヒーの産地(エクアドル)で開催した「第3回有機コーヒー・フェアトレード国際会議」が今号の中心となっていますが、「スローライフ」や「スロービジネス」などの新たな記事も多くなっております。本誌を読まれて生産者へのメッセージや読後感想などをお寄せいただければ幸いです。
今号にはカルロスさんの孫であるカシオさんが追悼文を書いていますが、このカシオさんは、カルロスさんに農薬の怖さを教えてくれた二女のテルマさん(現在カンピーナス大学教授)の息子さんです。カシオさんは今、カルロスさんの仕事を引き継ぐ一人として、農場運営に関わってくれています。
また、「お父さんは美しいことが好きなのに、なぜ有機農業をやらないの」と話して、カルロスさんに農薬だけでなく化学肥料も使わない有機農業への取り組みを決断させた二男のカルロス・ジュニアさんが、今年、来日してくれる予定です。(日程が決まりましたらお知らせ致します。)
このようにカルロスさんのご家族は、カルロスさんが生前、ブラジルに初めて築いた有機コーヒーのフェアトレードを継続する強い意志を示して下さっています。初めて、カルロスさんに会った日に言われた「これから末永くお付き合いをお願いします。そして、私だけでなく、私の次の世代とも付き合っていって下さい」という言葉を実践されようとしています。私共もこれまでと同様に「心の通う」フェアトレードを今後も継続できるよう努力していきたいと考えております。
カルロスさんは平和を愛した方でした。そして、子どもたちの幸せをいつも考えている方でした。有機農業に取り組みながら、ストリートチルドレンやエイズの子どもたちの世話を長年続けてこられました。また、小社が1990年から取り組んでいるチェルノブイリ原発事故で被災した子どもたちの医療支援にも進んで協力してくださいました。
一昨年、カルロスさんにお会いしたとき、湾岸戦争で米軍が使用した劣化ウラン弾の放射能によってイラクの子どもたちが犠牲になっている問題を話し合いました。(戦場に近いイラク南部の諸都市では、ガンと白血病が3倍〜7倍に増加。放射能は低年齢ほど被害を受けるため、2001年度における15歳以下の白血病の発生数は、その60%が5歳未満でした。被害はガンと白血病だけではなく、子どもたちに先天的障害が増えており、1999年9月のAP記事は、「公式統計によれば、イラク南部では、欠損を持った新生児の数が3倍に増加した」と伝えています。ユニセフによれば、1999年までに湾岸戦争とその後の「制裁」期間中に50万人以上の子どもたちが死亡しています)カルロスさんもこうした状況を大変悲しんでおられました。
そのような状態のイラクを、湾岸戦争以上の劣化ウラン弾と新型兵器で攻撃したのが、今度の「戦争」でした。劣化ウランの放射能が半減するのに要する期間は45億年です。イラクには半永久的に放射能の汚染が残ります。
「独裁者からイラク人を救うため」と米国は言ってきましたが、平和学の父ガルトゥング博士によれば、米軍は既にフセインが殺戮したイラク人の数よりも多くのイラク人を殺しています。これに、劣化ウランなどによる長期の犠牲者を加えれば、数十倍、数百倍のイラク人を殺すことになるでしょう。その中には何人の子どもたちが含まれるのでしょうか。
「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という憲法を持つ日本が、国連を無視した武力による先制攻撃をなぜ支持したのでしょうか。日本人の一人として、責任の大きさを感じます。
いまイラクでは、医薬品や医療器具などが不足しており、深刻な状況です。小社では、イラクの人々、特に子どもたちの医療支援を中心とした「イラク医療支援基金」を設立することにしました。コーヒーの売上の一部は、この基金として積み立てていきます。
このイラク医療支援基金とチェルノブイリの移動検診車(エコ風11号p17〜18参照)購入費用の募金を現在募っております。ご協力いただける方がおられましたら、同封の「ワールド・エコネット」振込用紙に、寄付金の使途をご記入の上、お振込みいただければ幸いです。
皆様にとって、世界の子どもたちにとって、2004年がよい年になりますように。
(株)ウインドファーム
代表 中村隆市
お知らせ
エコロジーの風p87に本の紹介が載っていますが、「スロー・イズ・ビューティフル」と「スローライフ100のキーワード」には、弊社のことが紹介されています。そして、「ピースローソク」の対談には、弊社の中村も登場しています。また、「エコロジーの風」でも毎回取り上げているセヴァン・スズキの待望の本「あなたが世界を変える日」が、学陽書房から出版され、大きな反響を呼んでいます。この本のあとがきを辻信一さんと中村が書いています。これらの本はすべて「ゆっくり堂」(TEL045-546-4605)から取り寄せることができますが、「ピースローソク」と「あなたが世界を変える日」は、小社でも販売しております。コーヒーと一緒に注文されますと送料がかかりません。本だけお送りする場合は送料が200円かかります。
ご注文は(通話料無料)TEL0037-80-0081 FAX0037-80-8398 まで