保安院の森山善範原子力災害対策監は、やらせを要請した職員の名前については中部電力への聞き取りはせず、保安院が自ら事実関係を究明する考えはないと説明
7月30日 西日本新聞から抜粋
第三者委で来月調査
保安院やらせ 経産相「うみ出し切る」
国主催の原発のシンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院が電力会社に「やらせ」発言や動員を要請したとされる問題で、海江田万里経済産業相は29日、記者会見し、法律の専門家などを含む第三者委員会を大臣官房に設置し、8月中に事実関係を調べることを明らかにした。
経産相は保安院が関与した可能性を示唆し「仮に国が特定の意見表明を誘導した事実があれば、経済産業省を預かる者として申し訳ない。これまで引きずってきたうみを出し切る」と述べた。
菅直人首相は会見で「極めて由々しき問題で、徹底的な事実究明と厳正な対処が必要だ。保安院の存在が問われる」と述べた。
規制当局によるやらせ疑惑で、停止中の原発が安全評価を終えても地元住民や自治体の理解を得るのは困難となり、再稼働のめどが立たなくなった。
福島第一原発事故で政府は保安院を経産省から独立させる方針だが、今の人員や組織のまま切り離しても原子力への信頼回復は難しい。経産相は根拠はないと断った上で、地方の保安検査官事務所の職員が、電力会社との付き合いの中で要請した可能性を挙げた。
保安院の寺坂信昭院長は記者会見し「中立、公正な判断を旨とする保安院にとって深刻な事態と受け止めている。大変申し訳ない」と謝罪した。
保安院の森山善範原子力災害対策監は、やらせを要請した職員の名前については中部電力への聞き取りはせず、保安院が自ら事実関係を究明する考えはないと説明。寺坂院長が約800人の全職員に宛てた「国民の信頼回復に努めるべく職務に精励するよう求める」とのメッセージを紹介した。