佐賀知事、やらせ誘発 再稼働、九電幹部に賛成意見促す

西日本新聞7月31日朝刊から抜粋

佐賀知事やらせ誘発か
「再稼動容認の声必要」
玄海原発説明 番組の5日前 九電副社長に発言

玄海原発2、3号機の再稼動について事実上同意の権限を握る古川知事に対し、県民の不信が高まるのは必至。一時は玄海町長の同意により定期点検後に停止が続く全国の原発の中で再稼動第1号になる可能性が高まった玄海原発だが、早期再開は一層困難になった。

密室の”助言”不信増幅
古川知事 緊急会見

原発行政への「不信の連鎖」はどこまで深まるのか
「安全確保」を最優先に再稼動の是非を判断すべき県政のトップの信頼性に拭い切れない疑問符が付いた。

報道陣の質問は、歴代の九電佐賀支店長らから知事が受けていた個人献金にも及んだ。古川知事は「法にのっとった献金」とあらためて主張。

「構造的な癒着問題」
市民や識者 原子力ムラの体質批判

番組に出演した玄海町の農業平田義信さん(49)は「知事が九電側に再稼動肯定の声を上げるべきだ、と伝えること自体問題。それがやらせメールに発展したのであれば、知事の責任は重い」

「九電と知事が早く再稼動させるために一体化した」と指摘するのは吉岡斉・九州大学副学長(科学技術史)。「知事は住民の生命安全を守るのが責務。経済は二の次のはずだが、再稼動をめぐる安全性についての保証がないままに、再稼動の立場で動くのは問題だ」


毎日新聞 7月31日東京朝刊から抜粋
古川知事は、九電副社長らに「自分に寄せられる意見はほとんど反対意見ばかりだが、電力の安定供給の面からも再稼働を容認する意見も経済界にはあるように聞いている。この機会を利用し、そうした声を出していくのも必要」

九州電力:原発やらせメール 佐賀知事、やらせ誘発 再稼働、九電幹部に賛成意見促す 

 九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の再稼働を巡る説明番組を舞台とした「やらせメール」問題で、佐賀県の古川康知事は30日、やらせの発端となる指示を出した九電副社長(当時)らに、再稼働を容認する意見の投稿を促すような発言をしていたことを明らかにした。九電第三者委員会の郷原信郎委員長は同日夜に会見し「古川知事の発言がやらせメール問題の発端になった可能性が十分にある」と指摘した。

 古川知事によると、国主催の番組開催を5日後に控えた6月21日朝、退任あいさつに訪れた段上守・前副社長や大坪潔晴・佐賀支社長ら九電幹部3人と知事公舎で20~30分間面談。番組も話題となり、知事は「自分に寄せられる意見はほとんど反対意見ばかりだが、電力の安定供給の面からも再稼働を容認する意見も経済界にはあるように聞いている。この機会を利用し、そうした声を出していくのも必要」という趣旨の発言をしたという。

 九電が公表した報告書によると、3人はこの後、佐賀市内の飲食店で会食した際、番組への意見投稿を増やす必要性で一致。部下らが「やらせメール」の発信などを指示した。

 古川知事によると、今月8日に九電の松尾新吾会長から知事公舎での面談について問い合わせを受け、13日にそうした発言をしたことを伝えた。九電は翌14日に「やらせメール」に関する報告書を公表したが、面談内容は一切伏せられていた。郷原委員長が27日に知事に面会を求め、公舎での面談について尋ねたこともあり、30日に緊急会見を開いたという。知事は「やらせを依頼したことはない」と釈明。「世論を形成しようとしたわけではない」と語った。【竹花周】

 ◇やりとりメモ、社員にメール

 九電第三者委員会の郷原信郎委員長は30日夜に会見し、大坪潔晴・佐賀支社長が段上守・前副社長の指示で、知事公舎で古川康知事と面談した際のやりとりをメモにしていたことを明らかにした。中身は「メールなどで(再稼働への)賛成意見も集まるようにしてほしい」という趣旨の内容だったという。

 郷原委員長によると、メモは九電本社の課長級社員から、知事との面談があった翌日の先月22日、やらせを依頼したメールに添付される形で九電原子力部門の社員約100人に行き渡っていた。社内の一部では、再稼働を求める意見の投稿が知事の要請と受け止められていた可能性があるという。一方、大坪支社長は第三者委の聞き取りに「やらせメールを出すよう要請されたという認識はない」と答えているという。【福永方人】

毎日新聞 2011年7月31日 東京朝刊


佐賀知事が九電のやらせ誘発か 玄海原発の説明番組で

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の説明番組をめぐる「やらせメール」問題で、同県の古川康知事は30日、番組放送数日前に九電の当時の副社長らと面会し「原発の再稼働を容認する意見を出すことが必要だ」と、番組にやらせ投稿を促すような発言をしていたことを明らかにした。

 記者会見した古川知事は「やらせを指示する意図はなかった。たくさんの人に番組を見てほしいと思って言ったが、軽率だった」と釈明。

 6月21日、副社長退任のあいさつのため副社長らが知事公舎を訪問した際、知事は「経済界には容認の声もあると聞くが表に出てこない。この機会に出すことも必要だ」と発言したという。
2011/07/30 19:39 【共同通信】

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