「10電力以外から」8.3% 電力購入
(2011年9月2日 中日新聞)
全国の都道府県と、政令市、中核市が2010年度に、中部電力や東京電力など10電力会社以外の特定規模電気事業者(PPS)から購入した電力量は、全体の8・3%にとどまることが分かった。調査した全国市民オンブズマン連絡会議が1日発表した。電力の自由化後も、10電力会社の独占状態が変わっていない。
6月末に調査。107自治体(47都道府県、19政令市、41中核市)がすべて回答したが、山形、神奈川、愛知、長野の4県は「電力の購入総額をとりまとめている課がないため、全体量が分からない」(愛知県)などでデータがそろわず集計から外した。
自治体別で最も割合が高かったのは宮崎県の52・6%。逆に55自治体は全量を10電力会社から購入していた。大半が入札を導入せず、随意契約だった。
中部6県では、愛知県の豊橋、岡崎、豊田の3市、長野市、岐阜市、大津市がすべて随意契約していた。
入札を実施した自治体では5割近く(金額ベース)でPPSが落札。電気料金は電力会社と比べて2・4?5・4%安くなった。
オンブズマンの新海聡事務局長は「電力の自由化が進んでいない。PPSの多くは、自然エネルギーで発電している。PPSからの購入割合を増やすことが脱原発にもつながる」と指摘した。
一方、中部電力と随意契約している岡崎市や豊橋市の担当者は「PPSは安定供給できるかに不安が残る」「トラブル時に電力会社と同じように対応してもらえるか心配」と説明した。
逆に、入札を実施している岐阜県や名古屋市の担当者は「競争が働けば料金はさらに安くなる」と自由化の利点を強調した。
【特定規模電気事業者(PPS)】10電力会社以外の電気の小売業者。ビルや工場など大口需要者を対象に2000年、電力の小売りが自由化され、参入した。現在は39社。送電線の自由化はまだのため、「託送料」を支払って10電力会社の送電線を使わなくてはならない。