山下俊一氏と日本対がん協会に「はだかの王様」大賞を

この半年間、福島県民の放射線被曝を増やし、健康リスクを高めてきた山下俊一氏と彼に「朝日がん大賞」を与えた日本対がん協会に「はだかの王様」大賞を授与したい

100マイクロSVは、10マイクロSVの誤り」という重大な間違いを起こしても、県民に対して危険な間違いを広く伝える記者会見も行わない山下俊一氏(訂正した10マイクロSvでも発ガン率が高まる)。
そんな人に賞を与えた日本対がん協会に多くの市民が抗議しています。

過去の「朝日がん大賞」受賞者リストを見るとその多くはエックス線によるガン検診を普及させてきた人たちです。

山下氏や日本対がん協会をはじめとする「低線量」被曝を軽視する人々は、日本人の健康被害を拡大していると思います。

2004年、イギリスの医学雑誌「ランセット」によれば、『日本の医療被ばく線量は、医療先進国15カ国の中でも断トツ1位。日本のガン患者の3%強は、診断のために浴びたエックス線がガンの原因』つまり、検診の為に受けたエックス線が原因で、年間 9900人がガンになる計算になります。

『受ける?受けない? エックス線 CT検査 医療被ばくのリスク』(発行:高木学校)によれば、エックス線検査による年間の発ガン数は、発ガン数全体の4.4%にも上り、イギリスの7倍となっています。(詳しくはコチラ)

また、米国でも放射線の被ばく線量が大きいCT検査が原因で発がんリスクが高まる問題が米内科学会誌「アーカイブス・オブ・インターナル・メディシン(Archives of Internal Medicine)」に掲載されています。 

放射線被ばく CT検査でがんになる』で、著者の近藤誠医師は、次のように書いています。
【明らかになったCTのリスク】日本は、唯一の被ばく大国なのに、診断用放射線による被ばく大国です。これに関しては、2004年2月に読売新聞が「がん3.2%は診断被ばくが原因」「15カ国で、日本がもっとも検査回数が多い」「発がん寄与度は、英国の5倍」という英国発の研究結果を、一面トップで報じたことが屈折点となりました。

この記事が出て、放射線関係者はあわてました。彼ら/彼女らの反応を言い表せば、「ああ、バレちゃった」でしょう。指導的立場にある者たちは、国民被ばく線量が多いことや発がんリスクについて、十分認識していたからです。

CTについて見ると、X線を通しにくい頭蓋骨が存在する頭部は、胸部・腹部に比べ、吸収線量が数倍になります。では、頭部に被ばくした場合の発がんリスクが高いかというと、そうではない。頭部には(原爆調査で判明した)発がんリスクが高い臓器が存在しないからです。頭部CTは、臓器吸収線量は多いけれども、発がんリスクは低いのです。逆に、肺、乳房(女性)、胃、結腸など、発がんリスクが高い臓器が存在する胸部や腹部のCTは、吸収線量は頭部CTより少ないけれども、発がんリスクは高くなります。

そうすると、吸収線量を比べるのでは、検査部位の違いによるリスクを把握できない。それで、「実効線量」が考案されました。実効線量が多いと、発がんリスクも高くなります。

1回のCT撮影での実効線量はどうか。日本の実測データを見ると、胸部CTが18ミリシーベルト、腹部・骨盤CTは男性が23ミリシーベルト、女性が29ミリシーベルトです。

【放射線防護専門家の無責任】
一部の専門家は、「100ミリシーベルト以下の被ばくで発がんリスクが増加する証明がない」と公言していました。しかしこの発言には問題がある。従来、低線量域での発がんリスクは、100%の証明とはいかないけれども、十中八九程度には証明されていたからです。それで、原子力発電所作業従事者が低線量被ばくの後に発がんした場合、役所が労災認定しているのです。白血病を発症して1991年に労災認定された方の被ばく線量は、11ヶ月で40ミリシーベルトでした。

最近、発がんリスクの証明度は、格段に上がってきました。原爆被ばく者の経過観察期間が延びるにつれて、発がん死亡数が増加したからです。現在は、10~50ミリシーベルトという低線量被ばくで発がん死亡が増加するとされています(Proc Natl Acad Sci 2003;100:13761)。他方、15カ国の40万人におよぶ原発作業従事者の調査結果も報告されました。生涯の累積被ばく線量が、平均20ミリシーベルトでしかないのに、発がん死亡が増加しています

発がん死亡のリスクは、具体的にはどの程度か。被ばくしたときの年齢によって変わります。被ばく時年齢が低いほど、リスクは高くなり、高齢になるほど、低くなります。推定では、45歳の1万人が全身のCTを一度受けると、8人が発がん死亡し、同じ人たちが75歳まで毎年CT検査を受けると(合計30回)、190人が被ばくにより発がん死亡するとされます(Radiology 2004;232:735)。

要するに現在は、1回のCT撮影で被ばくする線量でも、発がん死亡の危険性が生じると考えられている。10ミリシーベルト程度の被ばくに関し、100%の証明があったとはいえないのですが、99%程度の証明度があります。欧米の専門家は、低線量被ばくに発がん性があることを前提に、患者保護のために活発に動いている。ところが日本では、今日に至るまで、患者保護の動きは緩慢です。

【CT装置は10年で倍近くに】
15カ国調査の実施期間(1991~96年)の中間年である1993年に、日本のCT装置の設置台数は8000台でした。これは、全世界の設置台数の3分の1以上に当たり、この一事だけからも、日本の被ばく大国ぶりが推認されます。

設置台数はその後、大幅に増えており、2003年には1万4000台と、10年で倍近くになりました。その後も増え続けていますが、特筆すべきは、最新鋭のCT装置(多列検出器CT。以下、MDCT)が急増していることです。2007年が4700台で、2009年が6900台と、年1000台以上のペースで増加している。このMDTCの増加が、国民総被ばく線量の増加原因になっています。

装置が新鋭化すると、なぜ線量が増えるのか。一つには、撮影時間が短くなって、その分、検査件数が増えるからです。そうすると、(1)CT装置の増加、(2)そのうちに占めるMDCTの増加、(3)MDCTによる1日当たり検査件数の増加、(4)1回の検査当たりの実効線量の増加があいまって、国民全体の実効被ばく線量は、1990年代に比べ、飛躍的に増加していると思われます。

したがって、前掲新聞記事中の「(日本の)がん3.2%は診断被ばくが原因」という推計は、今となっては時代遅れで、少なくとも2~3倍と考えておくのが安全です。

現在、タバコを除けば、放射線診断による医療被ばくが単一かつ最大の発がん因子になっていると考えられます。

このようにCTには危険がありますが、なかでも、子どものCTは危険です。子どもは臓器・組織が成長段階にあり、放射線の影響を受けやすいのです。発がんリスクのグラフ(※)からわかるように、年齢が低いほど、発がんリスクが高くなっている。(※1回のCTによる1万人あたり発がん死亡数(推定)のグラフ【中村注】腹部CTでは、30代~60代くらいまでは、1万人あたり2~3人死亡。それが20代になると10人ほど死亡。5歳だと約15人、0歳児は23人も発がん死亡すると推定されている。(AJR2001;176:289)

こうした問題を日本のマスメディアは、あまり報道しません。
そして今、福島県民の健康、生命を更なる危機に追い込もうとする国際会議が開かれています。

【9月11日12日福島市】国際専門家会議に注目、抗議を!
(2011年9月11日 ハイロアクション)から抜粋

本日9月11日と12日、福島県立医科大学にて、国際専門家会議「放射線と健康リスク―世界の英知を結集して福島を考える」International Expert Symposium in Fukushima?? Radiation and Health Risksが開催されます。それに先立ち、市民放射能測定所、47プロジェクト、他120団体は、主催者に対し、以下のような公開質問状を提出しました。

この会議は、福島の人々、子どもたち、赤ちゃんたちに、無用な被ばくを広めてきた山下俊一氏を筆頭に、低線量被曝による健康被害について小さく見積もる学者ばかりを集めていることからもわかるように、被曝受忍、汚染地域住民の囲い込み、という流れを、「科学」や「医学」の名を語って推進するものと考えられます。

私たちは、この会議において、誰が、どのような発言をしたのか、会議の流れがどのようなものであったか、把握することが必要です。

特に、明日の13時45分から1時間でなされる、総括の内容に注目してください。

ネット中継は、以下で見ることができます。11日9時からシンポジウム開始です。

岩上安身チャンネル
日本財団


国際専門家会議に関する公開質問状

2011年9月10日

国際専門家会議「放射線と健康リスク」組織委員会 御中

この度、貴委員会が9月11~12日に福島県立医科大学で開催される国際専門家会議に対しては、多くの疑問、疑念があります。その疑問は、3月中の段階で福島県住民に対して説明された100mSv以下の被ばくは安全であるとの見解についてであり、また今回の会議の趣旨の一つ「県民健康管理調査」の外部評価についてです。

放射線防護の専門家の役割は放射線被ばくを最小化して健康被害を未然に防ぐことにあると、私たちは考えます。「福島県における県民健康管理調査の取組み」の目的は「原発事故に係る県民の不安の解消、長期にわたる県民の健康管理による安全・安心の確保」とあります。放射線防護の専門家が役割を果たした結果として安全と安心は確保されるものです。100mSv以下の被ばくは安全であるとの説明によって防護に失敗し、その責任が放棄されてしまいました

また県民健康管理調査次第のなかには、『今回の福島第一原子力発電所事故による健康影響は極めて少ないと考えられる』とあり、結論を現段階であらかじめ断定しているかのような調査を行い、異なる見解を持つ専門家、研究者間の継続的な議論がなされないのは、自らの責任回避を図ろうとしているようにしか見えません。県民、国民、市民の不信と不満は高まっています。原発事故による汚染の結果、現在も各地で様々な形での被ばくが続いています。その責任の多くが日本における放射線防護の専門家とされる貴委員会の委員および国際専門家会議の限定された出席者にあります。当事者が自ら選んだ海外の専門家から、現在の状況を変え、本来の放射線防護に資する見解を引き出せるとは到底考えられません。このままでは見せかけの外部評価にすぎないと断定せざるを得ず、住民の不安は増大するばかりです。

私たちは、以上に述べる理由から、この度の国際専門家会議が福島第一原発事故に伴う放射線被ばくの健康への影響について科学的な検討を行い、健康リスク問題を正しく評価し、放射線防護を行うには不十分と考えております。

ここに私たちの見解をお伝えするとともに、貴委員会の会議に関して下記の通りお訊ねいたします。誠意あるご回答をいただけますよう、謹んでお願い申し上げます。なおこの質問状は、貴委員会にお送りするとともに一般公開いたします。

質問:

1.開催される会議の出席者のなかに、低線量被ばくの健康への影響は国際放射線防護委員会の評価よりも大きいと報告する研究者たちの参加が見受けられません。国際専門家会議として、放射線被ばくによる健康への影響を検討するならば、異なる見解を持つ専門家、研究者同士が議論してこそ意味があるものです。そうした研究者を排除して行われる理由をお答えください。

2.年間100mSvまで安全であると住民に説明を行ってきた貴委員会委員、山下俊一福島県医科大学副学長と生涯100mSvから悪影響が見られるとする内閣府食品安全委員会の見解には大きな隔たりがあります。これに関する貴委員会の見解をお聞かせください。

3.チェルノブイリ事故の影響によるがん死者数、罹患者数に関して、IAEA/WHOの報告(2005年「チェルノブイリ・フォーラム」がん死約4000人)とニューヨーク科学アカデミー報告書(2009年の時点で、がんを含む様々な疾患に加え、死産などに伴う総死者数100万人)、ECRR、ドイツ放射線防護協会、またその他多くの報告には大きな隔たりがあります。それらをどのように説明されるのか貴委員会の見解をお聞かせください。

4.小児甲状腺がん以外の疾病の増加については認められていないとするチェルノブイリ原発事故の「公式」な見解とは異なる多くの研究、報告(ニューヨーク科学アカデミー『チェルノブイリ大惨事ー人と環境に与える影響』、核戦争防止国際医師会議ドイツ支部『チェルノブイリの健康影響』)については検討されるのでしょうか。されないならば、その理由をお聞かせください。

5.専門家、研究者間の意見の違いがあるにも関わらず、お互いの意見が議論されないことで、住民の不安は募り、会議の趣旨に反していると思われます。貴委員会の目的と趣旨のご説明とその理由をお聞かせください。

6.8月16日に行われた記者会見で貴委員会は、県民の放射線に対する不安を払拭するための提言、子どもを持つ母親の不安の解消のための提言を取りまとめるとの発表をなされています。不安を払拭するための提言を行うとありますが、放射線防護のための提言ではない理由をご説明ください。

7.市民の不安を取り除くはずの会議が、一般市民を排除して市民の声が届かない形で行われる理由をご説明ください

以上

朝日がん大賞に山下俊一さん 被曝医療に貢献
(2011年9月1日6時0分 朝日新聞)から抜粋
 日本対がん協会(垣添忠生会長)は、今年度の朝日がん大賞と対がん協会賞の受賞者を1日付で発表した。大賞には長崎大学大学院教授で、7月に福島県立医科大学副学長に就任した山下俊一さん(59)が選ばれた。チェルノブイリ原発事故後の子どもの甲状腺がんの診断、治療や福島第一原発事故による福島県民の健康調査や被曝(ひばく)医療への取り組みが評価された。2日に鹿児島市である「がん征圧全国大会」で表彰する。


山下発言の検証(1)

「山下俊一氏の発言」 と 「国際共同研究報告書」の違い

2011. 4. 6 日経メディカル
チェルノブイリ事故調査結果を基に長崎大の山下俊一教授が明言
放射性セシウム汚染で疾患は増えない

 福島県の放射線健康リスク管理アドバイザーを務める長崎大大学院医歯薬学総合研究科教授の山下俊一氏が4月5日、日本財団主催の緊急シンポジウム「福島原発事故 “誰にでもわかる”現状と今後」で講演。いま環境中に放出されている放射性物質の健康影響について、「その線量は極めて微々たるもので、全く心配が要らない量だ」とし、随時モニタリングされ適切な対策がなされている現状では、「いまの日本人に放射性降下物の影響は起こり得ない」と断言した。

 現在、世界保健機関(WHO)緊急被ばく医療協力研究センター長でもある山下氏は、1986年4月に起きた旧ソ連邦ウクライナ共和国のチェルノブイリ原子力発電所の事故後20年間、現地での医療支援活動や健康影響調査に携わってきた被曝医療の専門家。

 山下氏は講演の中で、1000mSv以上の被曝線量を一度に浴びると急性放射線障害を引き起こし、100~1000mSVだと中長期的な放射線障害を確定的に受け、線量依存性に発がんリスクが上昇することが広島・長崎の原爆被爆者の調査で証明されているとしたが、100mSv以下の低線量の影響についてはよく分かっていないと指摘。「その低線量領域でも危険だという人もいれば、証明できないのだから危険はないという立場の専門家もいて、まさに低線量やその慢性被爆の影響については専門家の間で議論が行われている領域だ」と述べた。

 山下氏はチェルノブイリ原発事故後、91年から96年までの5年間チェルノブイリ笹川プロジェクトのメンバーとして検診車で現地を巡回し、放射性物質の汚染状況を調べるとともに、事故当時0~10歳だった5~15歳の小児12万例を対象に検診を行った。

 その結果、放射性降下物の主たる成分は放射性ヨウ素と放射性セシウムであり、小児甲状腺癌が多発したことが唯一事故による放射線被曝の影響だったことが判明。小児甲状腺癌は、短半減期の放射性ヨウ素が空気中や食物連鎖により汚染されたミルクなどを介して乳幼児の体に入ったことが原因と推測されており、当時のソ連政府は事故に関する情報を隠蔽し、何ら対策を取らなかったことが被害を拡大させた。

 一方、半減期30年の放射性セシウムはいまなお原発周辺地域の土壌などに残っている。地域住民は現在でも放射性セシウムに汚染されたキノコや野菜を摂取しており、彼らはいまだに500~5万Bqの内部被曝を受けている。にもかかわらず、放射性セシウム汚染地域での追跡調査の結果では、何ら疾患は増えていないという。「放射性セシウムについてわれわれは強い懸念はしていない」と語った。

 「福島第一原発の原子炉が今回の地震で損傷なく生き延び、日本の科学の粋をもって緊急炉心停止が行われたのは不幸中の幸い。今後大爆発は起こらないだろうし、炉心の中のくすぶりを抑えるため、いま懸命な努力がなされている。ただ、チェルノブイリの100分の1程度の放射性物質が環境中に放出されたと推測されるため、今後長期的なモニタリングと健康影響調査が必要だろう。今回は、過敏と思われるほど情報が公開されており、また、農産物の出荷停止などの対策も講じられている。いまの日本人に放射性降下物の影響は皆無に近く、起こり得ないことだ」と山下氏は述べた

※チェルノブイリの100分の1程度の放射能(放射性物質)ではない

福島原発の放射能 事故直後だけでチェルノブイリの15%を放出
(東京新聞)


チェルノブイリによる放射能災害  国際共同研究報告書

ウクライナにおける事故影響の概要 から抜粋 
ドミトロ・M・グロジンスキー
ウクライナ科学アカデミー・細胞生物学遺伝子工学研究所(ウクライナ)

穀物,野菜,牧草,果物,牛乳,乳製品,肉そして卵までもが放射能で汚染され,その汚染は時には,それらの食物を廃棄しなければならないほど強いものであった.

ウクライナ人全体の被曝は主として,チェルノブイリ事故後に強制避難させられた地域以外の放射能汚染によってもたらされた.

放射線生態学的影響

チェルノブイリ事故による放射線生態学的影響の主なものは以下のとおりである.

1、厖大な核分裂生成物が大気中に放出され,生態系に侵入した.放射能は,地上の生態系のあらゆる部分に拡がり,結果的に,微生物,きのこ,植物,昆虫,その他の動物,そして人間まで,すべての生き物が放射能で汚染された

2、 放射能は地下水に移動し,また表層の水をも汚染した

3、放射能が食物連鎖に入り込み,人間に達した.大人も子供も,また人間の周囲にあるあらゆるものが放射能で汚染された.たとえば,キエフ中心部の樹木の葉は,1986年に7万~40万Bq/kgの放射能を含んでいた.

4、放射能が生物圏に侵入したため,多数の人間を含めて,すべての生き物に対して,被曝を与えることとなった.チェルノブイリ原発事故の放射性降下物から人間が被曝する経路には次の3つがある.第1に,地表に沈着した放射性物質からの外部被曝,第2に,大気中を漂う放射性物質の吸入,第3に,汚染した食べ物を食べることである.全体の被曝の中で,汚染した食べ物を食べることから生じる被曝が特に大きい外部被曝に比べて内部被曝の方が,はるかに高い生物学的な影響をおよぼすことにも注意しておこう.

5、天然のバックグラウンド以上に被曝することは,人間にさまざまな病気を引き起こすし,放射能汚染地域の動植物群の状態を変化させる.

子供たちの健康状態

チェルノブイリ事故で被曝した子供では,1987年から1996年まで慢性疾患がたえず増加してきた.表14は,チェルノブイリ被災地域の子供の発病率と罹病率の値である.

この約10年間で,罹病率は2.1倍に,発病率は2.5倍に増加した.罹病率の増加が最も激しいのは,腫瘍,先天的欠陥,血液,造血器系の病気であった.最も罹病率が高いのは,第3グループ(厳重な放射線管理下の住民)の子供たちである.同じ期間において,ウクライナ全体の子供の罹病率は,20.8%減少していることを指摘しておく.

このように,被災地域の子供たちの罹病率は,全ウクライナ平均での子供の罹病率をはるかに超えている.

同じ期間に,先天的欠陥の発生率は5.7倍に,循環器系および造血器系の罹病率は5.4倍に増加している

他の地域の子供に比べ,問題の子供たちのガン発生率も明らかに大きい.被災地域の子供の,腫瘍発生率は1987年からの10年間で3.6倍に増加している.ガンの種類によって,その死亡率の増加傾向は,必ずしも一定していない.しかし,汚染地域の子供のガン死亡率は,他の地域の子供よりも大きくなっている.

全文

「チェルノブイリ・百万人の犠牲者」 皆に見てほしい動画
動画の書き起こし

チェルノブイリ事故23年後の健康と環境への影響

チェルノブイリの避難基準5ミリシーベルトでも病気が倍増

国際「原子力村」の危機 ベラルーシ科学アカデミー ミハイル・マリコ

安全な被曝量というものはない 
「社会的責任を果たすための医師団」ノーベル平和賞団体 創設者

「自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」抗議の辞任(内閣官房参与)

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