セシウム飛散、250キロ以遠にも 群馬の汚染地図公表
(2011年9月28日1時35分 朝日新聞)
文部科学省は27日、航空機を使って測定した放射性セシウムの蓄積量について、群馬県の汚染マップを公表した。東京電力福島第一原発事故によって飛散した汚染の帯が、250キロを超えて広がっていることが分かった。
8月23日~9月8日、県の防災ヘリコプターで測定した。汚染度の高い地域の帯は、原発から北西60キロ付近まで延びた後、南西に方向を変えて栃木県を越え、群馬県まで続いていた。文科省によると、放射性物質を含んだ雲が山地に沿って風に運ばれ、樹木や雨によって地上に沈着したと推測できるという。
放射性物質の量が半分になる半減期が30年のセシウム137で最も蓄積が多かったのは県北部。原発から約180キロ離れたみどり市や桐生市などの山間部の一部で、1平方メートルあたり10万~30万ベクレルにのぼった。250キロ離れた長野県境の一部でも3万ベクレルを超えた。チェルノブイリ原発事故では3万7千ベクレル以上が「汚染地域」とされた。
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放射性物質「汚染マップ」公開 桐生など、山間部でも高い数値 /群馬
(毎日新聞 2011年9月28日 地方版)
県は27日、放射性物質の飛散状況をヘリコプターで調査した「航空機モニタリング」の測定結果を発表した。東京電力福島第1原発事故を受け、文部科学省と協力して行ったもので、測定データを基に作製した「汚染マップ」を公開。これまでの調査で高い空間線量が測定されていた北毛地域に加え、新たにみどり市や桐生市の山間部でも高い数値が検出された。【喜屋武真之介】
県によると、調査は8月23日~9月8日に実施した。県防災ヘリ「はるな」が高さ150~300メートルを飛行し、搭載した高感度放射線検出器で南北に飛行して東西3キロ間隔で測定。地表から高さ1メートルの空間線量と地表の放射性セシウムの蓄積量を算出し、それぞれの汚染マップを作った。個別地点の具体的な数値は公表していない。
調査結果では、これまでも高い数値が測定された川場村や沼田市北部などで、毎時0・5マイクロシーベルト超~同1・0マイクロシーベルト以下の比較的高い空間線量が計測され、みどり市や桐生市の一部山間部でも同水準の空間線量になった。国が示した校庭の除染基準となる毎時1・0マイクロシーベルトは下回った。
また比較的高い空間線量を測定した地域では、地表のセシウムの蓄積量が1平方メートル当たり最高10万ベクレル超~30万ベクレル以下だった。コメの作付け制限基準(同100万ベクレル)を下回っており、県は「全地域でコメの作付けも可能な水準」としている。
県は航空機モニタリングで高い空間線量が測定された地域やその周辺の68地点で27日、地表からの再調査を実施。サーベイメーターで地上から高さ1メートルの空間線量を測定した結果、毎時0・12~0・48マイクロシーベルトを観測した。県は「震災直後に雨が降った山間部に放射性物質が沈着したと考えられる」と分析。また線量が比較的高い自治体については「市町村と相談しながら対応を考えたい」としている。
毎日新聞 2011年9月28日 地方版