食品からの被曝 「生涯累積100ミリSv」 「安全委」がより危険な答申

食品からの被曝「生涯100ミリシーベルト」安全委答申
(2011年10月27日20時32分 朝日新聞)

 食品からの被曝(ひばく)による影響を検討していた食品安全委員会は27日、「健康影響が見いだされるのは、生涯の累積でおおよそ100ミリシーベルト以上」とする評価をまとめ、小宮山洋子厚生労働相に答申した。厚生労働省は、緊急対応として使われてきた現在の暫定基準を見直し、新基準案を年明けまでにまとめる見通しだ。

 「生涯累積100ミリシーベルト」(原発事故由来ではない自然放射線などを除く)は、新たな正式基準をつくる根拠になる。これまで同委員会は、食品だけでなく環境からの外部被曝も含めて100ミリシーベルトだと解説してきた。

 しかし同日の記者会見でこれまでの説明を訂正。外部被曝は所管外だとして、「外部被曝がほとんどなく、汚染された食品からだけ被曝する状態」を前提にして考えた値だと解説。「内部と外部の合計ではない」と述べ、食品による内部被曝だけで100ミリシーベルトという意味だと強調した。しかし福島県など外部の放射線量が高い地域は現実にはある。外部被曝分をどう考えるのかという問題は、厚労省などに判断を委ねる意向を示した。

 厚労省は、東京電力福島第一原発事故による放射性物質を含んだ食品を1年間摂取した場合の被曝線量を、全年齢平均で約0.1ミリシーベルトと推計している。このままの状態で0歳児が100歳まで生きたとしても、生涯10ミリシーベルト程度という計算になる。

 従来の暫定基準は、食品からの被曝を放射性物質全体で年間17ミリシーベルトを超えないようにするという大枠から、1キロあたりの基準を算定した。放射性セシウムなら野菜や肉類で1キロあたり500ベクレル。この物差しで農水産物の出荷停止措置がとられた。国際放射線防護委員会(ICRP)の換算式によると、成人が1キロあたり500ベクレルのセシウム137を含む食品を200グラム、365日食べ続けると、内部被曝は約0.5ミリシーベルトに相当する。

 小宮山厚労相は新基準について「安全性を確保する必要があり、(暫定基準よりも)厳しくなる」との見通しを示す。ただ検討作業は簡単ではない。生涯累積なので年齢によっても差が出る。子どもは大人より放射線の影響を受けやすい可能性がある、と答申は指摘した。厚労省は31日、薬事・食品衛生審議会を開き、食品安全委の答申を報告する。(小林未来)


食品安全委員会の新見解か、つじつま合わせか
(2011年10月28日 foocom.net)から抜粋

食品安全委員会が、放射性物質のリスク評価書の内容について説明を変えた。
これまで、「生涯における追加の累積の実効線量がおおよそ 100mSv 以上で放射線による健康影響が見出されている」とし、ワーキンググループ座長らが「外部被ばくを含めて全体の数値を出している」という趣旨の説明をしていたのに、生涯の累積実効線量100mSvはそのままで「食品による内部被ばくのみ」と言い始めた。

説明会の場で「食品安全委員会委員長談話」としてペーパーが配布されて驚いた。その時初めて、内部被ばくだけで100 mSv以上で影響ありとするのだということがわかったのだ。その説明は概ねこんな感じである。「食品安全委員会の評価はそもそも食品なので、今回の評価は外部被ばくが著しく増大していないことを前提として、食品のみの評価を前提として、おおよそ100 mSv以上で影響が見いだせるとした。外部と内部で合計して、評価したわけではなかった。今まで間違った報道がされてきた」

次に多かった質問は、外部被ばくをどう考えるのか、評価は誰がするのか?と言う点だ。事務局からの回答は「しかるべき機関において、適切な措置を講ずべきものと考えている」というものだった。たとえば場所によって空間線量の高い地域について、外部の環境は環境省、子供は文部科学省が対策を講じるそうである。「食品安全委員会は食品のことしか言えない」から、外部のことは知らないという。そんなことは前からわかっていたことではないだろうか。

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