再処理工場廃止に1.4兆円 原燃社長

再処理工場廃止に1.4兆円 原燃社長
(2011/10/29 11:03 デーリー東北)

 原子力委員会の小委員会が示した核燃料サイクルのコスト試算について、日本原燃の川井吉彦社長は28日の定例会見で、「コストだけの問題ではない。エネルギーセキュリティーや環境保全など、多岐にわたる視点から議論されるべきだ」と述べ、費用面だけを捉えたサイクル見直しをけん制した。

 一方、六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の廃止措置に約1・4兆円を要するとの試算を明らかにした上で、再処理と直接処分(埋設)との比較に当たっては、政策変更に伴う費用を加味して検討を進める必要性を指摘した。

 サイクルを含む原子力政策の見直しに着手した原子力委が設置した小委員会は25日、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す再処理の費用が、使用済み核燃料の直接処分より約2倍との試算をまとめた。

 会見で、川井社長は原子力政策をやめた場合、再処理工場の廃止措置に加え、「火力などの代替電源が必要になり、その費用は膨大になる」と主張。
 直接処分については「環境保全の面から極めて難しい選択肢だ。わが国では直接処分の技術的知見が少ない」との課題を指摘し、否定的な見解を示した。
 県議会がサイクル政策の早期提示、六ケ所村と村議会がサイクル推進を国に要望した点などを踏まえ、「立地地域の思いを重く受け止めてもらいたい」とも述べた。
 ガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)製造試験が中断したままの再処理工場の来年10月完成については、「相当厳しいが、現段階で目標を変えるつもりはない」とあらためて強調した。

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