九州電力玄海原子力発電所が立地する佐賀県玄海町の岸本英雄町長の実弟が経営する建設会社「岸本組」(本社・佐賀県唐津市)が2008年度までの15年間に、九電発注の原発関連工事だけで少なくとも約110件、総額約56億円分を受注していたことがわかった。
原発の再稼働を巡っては、九電が岸本町長の了承を条件の一つにしている。再稼働の判断を握る立地自治体の首長の親族企業が、九電から多額の工事を受注している実態に、識者は「一種の隠れ献金ではないか」と指摘している。
岸本組の工事経歴書などによると、同社は1994年度以降、消防倉庫、固体廃棄物貯蔵庫、原発従業員の社宅修理など様々な原発関連工事を受注。2008年着工の温室熱供給設備設置工事など1億円を超える事業を多数請け負っている。
(2011年7月11日14時49分 読売新聞)
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2011/07/10
玄海町長 実弟企業に原発マネー 工事受注17億円 自身も配当1000万円
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玄海原発4号機の運転再開 九州電力
(2011年11月1日23時19分 朝日新聞)
九州電力は1日午後11時、トラブルで停止していた玄海原発4号機(佐賀県玄海町)の運転を再開した。止まっていた原発の運転再開は東京電力福島第一原発事故以来、初めて。古川康・佐賀県知事や岸本英雄・玄海町長がこの日、再開容認の姿勢を示したことから「地元の理解も得られた」と判断した。
九電によると、1日午後11時に原子炉を再起動し、2日午後に発電を再開して、4日には通常運転に戻る予定。定期検査に入る12月中旬まで約1カ月半の稼働で、火力発電に使う燃料費を約135億~180億円、石油換算で約30万キロリットル節約できるという。
九電は再開方針を10月31日夜に発表。前後して地元住民らに周知を始めた。1日午前には山元春義副社長が玄海町を訪れ、岸本町長と会談。トラブル原因や対策をまとめた報告が国に「おおむね妥当」と評価されたことを踏まえ、運転再開への理解を求めた。
岸本町長は会談後、「4号機については国から安全性の確認を得た」と明言。古川知事も1日夕、県庁で報道陣に「規制の責任を負う国が判断されたのであれば、これまでと同じように受け入れる」と述べ、再開を認める意向を示した。
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【8月8日、西日本新聞トップニュースより抜粋】
中立装い再稼動?
古川知事発言メモ問題 あす県議会特別委
会見拒否、真意どこ
九州電力玄海原発2、3号機の再稼動問題で、九電幹部と会談した際の古川康知事の発言を記録したとされるメモの衝撃が広がっている。再稼動に有利に働く方策を「国に進言」し、九電側に「県議への働き掛け」を求めるといったメモからは、さまざまな方法を講じて再稼働に突き進む知事の姿が浮かび上がる。知事は報道陣の取材に応じず、9日の県議会原子力安全対策等特別委員会で説明するとしている。
「僕は客観的に判断したいと思って、そのどちらの方ともお目にかかっていない」。古川知事は自身のホームページに掲載した6月14日付のコラムでこうつづり、原発推進派とも反対派とも距離を置いて再稼動の是非を判断する姿勢を強調。同様の発言は県議会などでも繰り返してきた。「安全性を最優先した判断をする」とも語ってきた。
しかし、国主催の原子力安全対策県民説明番組を5日後に控えた6月21日、古川知事は九電幹部と知事公舎で会談。その際の知事発言とされる九電幹部のメモには、「再稼動ありき」という知事の立ち位置が鮮明に示されている。
「国際原子力機関(IAEA)から緊急安全対策を評価するコメントを出してもらえるよう国に進言した」。事実ならば、再稼動に向けた環境づくりに、知事が積極的に動いたという見方ができる。「自民党系県議にいろいろなルートで働き掛けるよう支持者にお願いしてほしい」。県議会(定数38)の最大会派、自民党県議団(29人)への議会対策を求めた内容となっている。
番組について、知事は「出演者の1人は商工会議所の専務理事」「長崎大学の放射線医学の専門家に同席してもらうことも考えている」と語ったとされる。いずれも5日後の番組で実現しており、知事の深い関与が疑われる。