避難世帯、過半は月10万円未満 

福島県から避難した世帯の過半数は1カ月の生活費が10万円未満、約4割は母子または父子世帯であり、避難先での厳しい生活を強いられている。原発事故をひき起こした東京電力の社長、会長、役員、原発の安全を断言していた経済産業省の官僚、原子力安全委員会の委員、政治家、原子力の専門家・・・彼らの報酬はどうなっているのか?

避難世帯、過半は月10万円未満 山形県が生活費調査
(2011年11月17日 共同通信)

 山形県は17日、東日本大震災で県内に避難している世帯に生活状況などをアンケートした結果、回答の過半数は1カ月の生活費が10万円未満、約4割は母子または父子世帯だったと発表した。仕事や生活での不安を訴える声も多く、避難先での厳しい生活の様子が浮かんだ。

 山形県は全国で最も多い1万3342人の避難者を受け入れている。アンケートは10月、4651世帯(1万2613人)に郵送、1649世帯から回答を得た。

 被災時の住所は90・1%が福島県、8・9%が宮城県、0・4%が岩手県だった。

 1カ月の生活費が10万円未満の世帯が39・4%、5万円未満が14・9%で、過半数が10万円未満と回答。65・4%が「お金のこと」を今の生活で不安なことに挙げた。

 子どもがいる世帯は71・7%あったが、母子または父子世帯が38・4%、両親と子どものいる世帯は3・4%だけだった。ほかは祖父母らと同居しているケースなどという。

 山形県は「放射能への不安から、父親が仕事で実家に残り、母子で避難しているケースが大半」と説明する。


山形への震災避難者にアンケート

(2011年11月18日 朝日新聞)

母子・父子世帯 4割 県、支援を本格化へ 経済的不安6割訴え

 東日本大震災で県外から山形に避難している世帯のうち、38%が母子・父子だけの世帯であることが17日、県が発表した避難者アンケートでわかった。子育てや経済的な不安を抱えている人も多く、県は避難の長期化を見据えて支援を本格化させていく方針だ。

 県外から山形への避難者は2日時点で1万3342人と、全国で最も多い。原発事故による自主避難者が多い福島県からが1万2542人と94%を占める。

 県避難者支援班は10月中旬時点で県内にいる避難者4651世帯にアンケートを郵送し、避難生活の現状や見通し、不安などを聞いた。1649世帯が回答し、回収率は35・5%だった。

 避難世帯のうち子どもがいる世帯は72%、いない世帯は25%(残りは未記入など)。子どものいる世帯のうち54%(全体の38%)は母子・父子だけの世帯で、原発事故による放射能の影響から母子だけで避難し、父親が地元に残って働く家庭の多さが数字でも裏付けられた。また、65歳以上の高齢者がいる世帯は16%で、そのうち高齢者のみの世帯は27%だった。

 避難世帯の1カ月の生活費は10万円未満が最も多く39%、10万円以上15万円未満が21%で、これらを合わせた15万円未満が6割を占めた。住民票の異動をしていないと答えた世帯は83%に上った。

 山形への避難期間がどれぐらいと考えているか、では、「わからない・未定」が30%を占め、「除染が終了(原発が安定)するまで」13%、「1年以内」12%、「1~3年」12%で、「ずっと山形に住みたい」は10%だった。支援班は「わからないと答えた人も除染の状況を見つつ、長期的な避難を考えている人が多いのでは」と話す。

 いまの生活で不安なことや困っていることを複数回答で聞くと、経済的な不安など「お金のこと」が65%と最も多く、「運転や雪かきなど冬の生活」が54%、「自分や家族の健康・病気」が45%だった。また、避難元の行政機関からの情報が十分届いているかについては、「はい」48%、「いいえ」44%と分かれた。

 必要な支援(複数回答)については、「避難者同士の交流・情報交換の場がほしい」29%、「気分転換と交流の機会を増やしてほしい」24%、「長期的な仕事がほしい」21%などが目立った。県内での就職・転職については「希望している」が40%に上り、このうちパートなど臨時職員の希望が42%、正規雇用希望は37%いた。

 子どもがいる世帯が望む子育て支援では、「子育てに役立つような情報がほしい」が31%、「遊び相手がほしい」が20%、「定期健診などのサービスを受けやすくしてほしい」も20%あった。

 アンケート結果をふまえ、県は避難世帯を訪問し相談を受ける相談員の配置や義援金や貸付金などの制度の情報提供の充実、子どものいる母親向けに雇用基金を活用してパートタイムの臨時雇用を増やす検討をしている。来週には「やまがた暮らし安心情報」と子育て支援の「ママの本」などガイドブック2種を発行し、全世帯に配布する。支援班の斎藤稔・生活環境部次長は「長期化を見据えて支援に本腰を入れていきたい」と話している。



東電、役員報酬5割減でも平均2000万円超 「無給が筋」続々

(2011.5.4 10:55 産経ニュース)

 福島第1原子力発電所の事故に伴う対応の一環として東京電力が発表した「役員報酬50%削減」に「まだ高い」との批判がくすぶっている。半減しても平均で2千万円超で、「会長、社長は無給が筋」といった声や、政府の連帯責任を訴える指摘がやまない。

 東電は平成19年11月、新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発の事故で、常務以上の年間報酬を20%削減した。今回は削減幅を大幅に拡大。影響の大きさを踏まえると同時に、約540億円を捻出し、被災者への補償に充てる狙いがある。

 だが、海江田万里経産相は、勝俣恒久会長や清水正孝社長を念頭に「まだカットが足りない」と述べた。東京商工リサーチの友田信男・情報本部副本部長も「けた外れの被害規模や日本の信用を失墜させた影響を考えれば、役員全員が報酬ゼロでいい」と厳しい。

 米系コンサルタント会社タワーズワトソンによると、多くの企業は不祥事の際の報酬について、内規で1~5割削減を1カ月から半年間、または無期限と定めているという。

 同社の阿部直彦・経営者報酬部門統括は「東電の『年収50%削減、期限なし』はめったにない規模」としながら、東電が不祥事のたびに報酬削減を繰り返した経緯から、「経営改善の点で効果がなかった」と指摘。業績連動型の導入が解決策の一つとみる。

 一方、政府にも責任があるとする声もある。独協大学の森永卓郎教授は「経済産業省幹部や内閣の政務三役以上も報酬を半減した後で、東電は原子力担当の副社長以上を無給にする措置が適当」と話している。


「老後の生活に直結」東電社長、年金削減を拒否 首相が再考求める
(2011.5.13 23:58 産経ニュース)

 東京電力の清水正孝社長は13日の参院予算委員会で、福島第1原子力発電所事故の損害賠償資金を確保するためのリストラ策として、企業年金や退職金の削減を求める声が出ていることに対し、「老後の生活に直結する問題で現時点では考えていない」と述べ、検討対象とはしない考えを示した。中西健治氏(みんな)の質問に答えた。

 これに対し、菅直人首相はその後の同委員会で、年金削減について、「国民の納得が得られるか、東電自身できちっと判断していただきたい」と語り、減額を再考するよう促した。

 年金削減は、賠償問題で国の支援を受けるにあたっての条件である追加リストラの検討項目に挙がっていた。ただ、削減には現役社員約3万6千人と、給付対象の退職者約1万人の3分の2以上の同意を得る必要がある。

 公的資金の投入を受けた日本航空では、高額批判の強かった年金の削減が大きな焦点となり、現役が約5割、退職者が約3割をカットされた。東電でも今後、料金値上げなどで国民に負担を求める際に焦点となる可能性がある。


東電役員報酬返上というが
兼職で報酬1千万円超も
関連会社役員に14人

(2011年6月28日 しんぶん赤旗)

 東京電力は福島第1原発事故を受け、賠償費用の捻出の一環として、役員報酬の返上・減額を表明していますが、代表取締役と常務の17人中14人が関連会社の役員を兼職し、報酬を得ていることが27日、本紙の調べでわかりました。関連会社から年間1千万円を超える報酬を得ている役員もいます。

 同社の有価証券報告書などによると、17人の代表取締役(8人)と常務取締役(9人)のうち14人がグループ企業など21社で社外取締役や社外監査役を兼任しています。こうしたポストは、東電幹部の“指定席”となって、たらい回しされています。

 清水正孝社長はグループ企業の日本フットボールヴィレッジの取締役となっています。次期社長が内定している西澤俊夫常務は東京発電の取締役です。

 こうした兼職の報酬は少なくありません。勝俣恒久会長が社外取締役を兼任する2社のうち、判明した情報通信大手のKDDIからは年間750万円の報酬を得ています。

 皷(つづみ)紀男副社長は3社で兼職(1社は14日に退任)していましたが、判明した2社分だけで年間約1280万円の報酬です。

 また元社長の荒木浩顧問が三井住友銀行の社外監査役として年間約430万円の報酬を得るなど、これまでの安全対策の責任が問われる歴代経営陣も兼職で報酬を得ています。

 東電は5月20日、代表取締役の役員報酬の全額返上と常務取締役の総報酬60%の減額―などを発表。4月に発表した清水社長ら幹部17人の総報酬50%カットの処置では不十分との批判が集中したため、再検討しました。減額の期間は「9カ月から12カ月が目安」と同社は説明しています。


東電役員報酬、公務員並みに=原賠機構開所式で「矛盾」指摘―枝野経産相
(2011年9月26日14時6分 朝日新聞)

 東京電力福島第1原発事故の被害者への賠償金支払いを進めるため官民共同で創設した「原子力損害賠償支援機構」の開所式が26日、行われた。枝野幸男経済産業相はあいさつで東電の企業体質に触れ、「競争が全くない現状で、競争にさらされている民間企業に準じて役員報酬が決められているのは論理矛盾だ」と指摘。公務員や独立行政法人並みにすべきだとの考えを示した。 [時事通信社]


「経産相の要求は一方的」 経団連会長、「東電給与、公務員並みに」発言を非難
(2011.9.26 16:46 産経ニュース)

 経団連の米倉弘昌会長は26日の会見で、東京電力の賠償問題に関し枝野幸男経産相が東電社員の給与水準は公務員などと同等でいいと言及したことに対し、「要求があまりにも一方的だ」と強く非難した。

 米倉会長は「原発は政府が安全基準からオペレーションまで深くかかわってきた」と指摘したうえで、「もっと政府自体の責任を問うべきだ」と強調。「賠償問題は国が前面に立ってやるべきなのに、対応が非常に遅れている」と語った。

 さらに「東電はゴーイングコンサーンの立場にある」と、東電はこの先もずっと事業を継続していく企業だとの認識を示し、「ステークホルダー(利害関係者)がどうのこうのという発言はいかがなものか」と疑念を呈した。

 原発再稼働の時期については「安全性が検証され、地元住民の理解を得る努力をすることが一番重要だ」と話し、再稼働の時期にはこだわらない考えを示した。


東電と賠償機構、国に1兆円超を支援要請 枝野経産相に計画提出
(2011.10.28 19:04 産経ニュース)

 東京電力と原子力損害賠償支援機構は28日、今後10年間で2兆5000億円超の経費削減などを盛り込んだ「特別事業計画」を策定し、枝野幸男経済産業相に提出した。計画内容は公開されなかったが、東電は、当面必要となる賠償額として1兆円規模の資金支援を要請した。

 一方、資材調達の見直しや寄付の中止などで今年度中に約2400億円の経費を削減、退職者を含めた企業年金の見直しにも踏み込むなどの徹底したリストラ策を示すことで、早期の計画認可を目指す内容となった。

 東電は、当面必要となる賠償費用を1兆円強と算定。そのうち、原子力損害賠償法に基づく国の負担分として最大額となる1200億円の給付をすでに申請しているため、実際の要請額は9000億円程度になる見込み。当初は7000億程度を想定していたが、観光業の風評被害に対する賠償基準の見直しなどで必要額が増加した。

 公的支援の前提として、東電は徹底的なリストラを求められている。このため事業計画では、年金の見直しにより10年間で総額1000億円超のコストカットを提示。東電の経営や財務内容を査定した政府の第三者委員会が示した3案のうち、65歳以上80歳未満の給付利率を現在の最低2・0%から1・5%に引き下げ、80歳以上が対象の「終身年金」の給付額を3割カットする案を選択した。

 また、第三者委から促された、10年間で2兆5000億円超の合理化を受け入れ、今年度分として、その10分の1の2400億円の削減を計画。当面の資金繰り対策としては、日本政策投資銀行に、つなぎ融資として総額3000億円の支援を求める。

 認可後、東電は事業計画を反映した2011年9月中間決算を発表する予定。枝野経産相は同日の閣議後会見で、迅速に計画内容を審査する姿勢を示す一方、「経営合理化を進めることができる中身になっているのか、賠償が適切に行われる方向が示されているかを中心に判断する」とも述べ、実際の公的支援額について慎重に判断していく考えを強調した。

 特別事業計画の認可は、東電が福島第1原発事故の賠償資金として公的資金を受ける条件になる。今回提出された計画は、被害者救済が滞らないための応急処置的な性格が強い。東電と支援機構が来年春に策定する「総合特別事業計画」(仮称)では、料金制度や原発の再稼働など、今後2~3年を見通しを反映した内容となる。

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