福島原発2号機は揺れで損傷か 専門家が解析
(2011/11/19 22:26 共同通信)
東京電力福島第1原発2号機で、原子炉格納容器下部の圧力抑制プールが地震の揺れで早期に損傷したか、劣化した可能性が高いとする解析結果を19日までに、原子力安全の専門家がまとめた。
東電は、地震による原子炉の明らかな損傷はなく、津波による電源喪失が事故原因との立場。揺れで損傷していれば、福島第1と同様に従来の耐震基準が適用されている他の原発への影響も必至だ。東電や政府の事故調査・検証委員会の調査結果が注目される。
解析したのは日本原子力研究開発機構の元研究者で、社会技術システム安全研究所(茨城県ひたちなか市)の田辺文也所長。
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ノルウェー大気研究所
「原子炉の自動停止直後にすでに放出が始まっていた強い証拠がある」
英科学誌「ネイチャー」 放射性セシウム放出量、保安院発表の2.4倍
地震発生時に原子炉に構造的なダメージがあった可能性を示唆
福島セシウム137放出3万5800テラベクレル、政府発表の2倍超か
(10月27日 ブルームバーグ)
東京電力・福島第一原子力発電所の事故に伴って放出されたセシウム137の総量が政府発表の2倍以上になる可能性がある、とのノルウェーの研究機関による調査結果が「アトモスフェッリクス・ケミストリー・アンド・フィジックス・ジャーナル」誌に発表された。
同研究調査によると、事故のピーク時に福島第一原発から放出されたセシウム137は3万5800テラベクレル(テラは1兆)。経済産業省原子力・安全保安院が6月に発表していた放出量は1万5000テラベクレル。
セシウム137の半減期は30年であるため、健康被害が懸念されている。同調査によると、3万5800テラベクレルのセシウム137は、1986年に起きた史上最大のチェルノブイリ原発事故時の放出量の約42%に相当する。
同調査によると、キセノン133も1670テラベクレル放出されており、「原爆実験を除くと、キセノンの放出量は史上最大」という。原子力安全・保安院はキセノンの放出量を1100万ベクレルと見積もっている。
原子力安全・保安院防災課事務室の古作泰雄氏は電話取材に対し事故当初に放出されたとみられる放出量に大量の追加の必要性はないようだとの見方を示した。さらに、6月の試算が確定的なものかどうかははっきりしておらず、修正の必要があれば総放出量の試算を見直す必要が出てくるだろうと述べた。
細野豪志原発担当相は8月に、要望があるので放出量の数字を最新のものにすることを考えているとしながらも、「率直に言って、当初の数字から大幅に増加することはないだろう」と述べた。
ノルウェー大気研究所のアンドレアス・ストール氏らの同調査は大気化学関係のウェブサイト上で公開されている。
日本政府と東電は最新の福島第一原発からの放射性物質の総放出量を公表していない。同調査では、3月11日にマグニチュード9の地震が起き45分後に大津波が福島第一原発を襲ったが、その前に放射性物質の放出があった可能性も指摘している。
同調査は「原子炉の自動停止直後にすでに放出が始まっていた強い証拠がある」とし、「地震発生時に原子炉に構造的なダメージがあった可能性を示唆する」と指摘した。
原子力安全・保安院の広報担当、小板橋忠重氏は地震が原発に大きな損傷は与えないとの立場を崩していないと語った。
同調査では、4号機の使用済み核燃料プールに放水した際にセシウム137の量が「急減」していることから「放射性物質の放出が破損した原子炉だけではなく4号機の核燃料プールからも出ていることを示唆している」と述べた。
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放射性物質放出量、政府推計の2倍か
(2011年10月27日03時11分 読売新聞)
東京電力福島第一原発事故の初期に放出された放射性物質セシウム137は約3万5000テラ・ベクレルに上り、日本政府の推計の2倍を超える可能性があるとの試算を、北欧の研究者らがまとめた。
英科学誌「ネイチャー」が25日の電子版で伝えた。世界の核実験監視網で観測した放射性物質のデータなどから放出量を逆算。太平洋上空に流れた量を多く見積もっている。
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※これまで原発を推進してきた福井県知事ですら、次のように発言している。
福井
原発テーマ 知事単独インタビュー 耐性検査では不十分
(2011年11月20日 読売新聞)
読売新聞が県庁で18日に行った西川知事への単独インタビュー。原発の再稼働の条件や時期、原子力政策、安全協定など原子力をテーマに語った。要点を紹介する。(畑本明義、藤戸健志)
――関西電力大飯原発3、4号機のストレステスト(耐性検査)結果は再稼働の判断材料になると考えるか。
ストレステストは、ヨーロッパで実施されているものを導入した。地震や津波に対して原発がどれくらい耐えられるかを計るものだが、機械的な計算だけでは不十分だ。事故で(福島の)個々の原発がどうだったのかが重要であり、テストは無用とは思わないが判断材料にはならない。
――再稼働の条件は。
事故発生直後からずっと福島の事故を教訓に安全基準を作るべきだと指摘している。無理難題を言っているわけではなく、立地地域の反対で再稼働できないわけでもない。国が最小限わかっていることを明らかにして原発の安全性をチェックする。早く合理的な判断をする環境を整えるのは国の責任だ。早く保安院で検討すればいいと思う。
――再稼働の時期は。
できるだけ早く判断したいと思う。われわれは反対している訳ではない。国が応えていないから物事が進まない。
――保安院は11月29日から高経年化(老朽化)原発の意見聴取会を行う。
我々の要請に応えてくれたのでしょう。福島第一原発1号機は「マーク1」型だが、現段階では事故を起こしたのはすべて同じ型という議論だけで、それ以上の検証が行われていない。敦賀1号機もマーク1なので検証が必要。高経年化の原発を止めるのか、止めないのか議論する必要がある。(30年、40年で廃炉にするという)考え方はあると思う。
――来年夏をメドに国が見直すとしているエネルギー政策について、どう思うか。
エネルギー政策の基本姿勢がはっきり示されていない。まずは大筋を示すとか、その後さらに詳しく検討するとか、(まとめるまでに)いろいろな段階があるはずだ。原子力は基幹電源としての位置づけが必要。エネルギー政策の方向性は再稼働の判断に必要と思う。すぐに示すべき時期でしょう。
――EPZ(防災対策重点地域)の範囲を事実上拡大し、UPZ(緊急時防護措置準備区域)としたことはどう考えるか。
原発の安全性を最高水準にすると言いながら、安全対策を進めず、福島のような爆発事故が起こりかねないということを前提に(区域を)国民に提示するというのはおかしい。福島での避難の実態がどうだったかを明示せず、立地地域の意見も全く聞いていない。同心円で何十キロでは科学的ではなく、地方に丸投げされても困る。
――周辺府県から安全協定を原発立地並みにしたいという声が上がっているが。
立地と近くない地域とではおのずと事情が違う。リスクも違う。安全協定を歴史的に積み重ねてきた経緯もあり、同じではない。(他府県も)同じ内容を考えてはいないと思う。再稼働は安全対策にどれだけ取り組むかということだから、立地地域が一番深刻に考えている。長年の経験もある。急に他府県が言えるようなものではない。
◇西川一誠知事 1945年旧朝日町(現越前町)出身。京都大法学部卒業、旧自治省(現総務省)に入省。旧国土庁(現国土交通省)長官官房審議官。95年10月から福井県副知事、2003年3月知事選に初当選し、現在3期目。
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