原発周辺 考慮してない断層や地形の変動が、全国で342か所

原発から約50キロ 活断層確認
(11月23日 18時30分 動画あり NHK)

東京電力福島第一原子力発電所からおよそ50キロにある断層について、国の原子力安全・保安院は、専門家による現地調査を行い、活断層であることを確認しました。

調査が行われたのは、福島第一原発から南東およそ50キロにある「湯ノ岳断層」で、原子力安全・保安院から依頼を受けた、地震などの専門家6人が参加しました。国の指針では、原発から30キロ圏内の断層については詳しい調査を求めていますが、湯ノ岳断層は30キロ以上離れていることから、東京電力はこれまで地表の観察にとどめ、「活断層ではない」と評価し、原子力安全・保安院も認めていました。しかし、東日本大震災後の4月の余震で動いたことが確認されたため、地層を掘って調べた結果、東京電力は、21日、「活断層とみられる」と発表しました。23日の調査では、地表からおよそ1メートル下の地層がおよそ50センチにわたってずれていて、活断層であることが確認されました。

湯ノ岳断層の問題を受けて、原子力安全・保安院は、全国の電力会社などに対し、原発周辺の断層を調べるよう求めたところ、地震対策として考慮してこなかった断層や地形の変動が、全国で342か所あることが分かっています。原子力安全・保安院は、今後これらの断層などについて、現地調査を行うなどして、再評価することにしています。

23日の調査に参加した専門家からは、「地表の観察だけでは断層の状態は分からない」「もう少し綿密に調べておけば、活断層だと分かったのではないか」などの意見が出ました。調査を行った原子力安全・保安院の小林勝室長は、「この断層が福島第一原発に与える影響は少ないと思うが、綿密な調査をしてこなかった、30キロより遠い断層をどう評価していくのか、専門家の意見を聞いて判断したい」と話していました。


福島第1原発から50キロ、湯ノ岳断層は活断層 東電修正
(毎日新聞 2011年11月22日 東京朝刊)

 東京電力は21日、福島第1原発から約50キロ離れた「湯ノ岳断層」(福島県いわき市、全長約17キロ)について、ボーリング調査の結果、活断層だったと発表した。東電はこれまで「活断層ではなく、耐震設計上、考慮する必要はない」としてきたが、見解を修正した。

 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は会見で「湯ノ岳断層は第1原発から遠く、活断層だったとしても耐震設計上、問題はない」と述べた。4月11日に発生した東日本大震災の余震で湯ノ岳断層が地表に現れ、経済産業省原子力安全・保安院が東電に調査を求めていた。東電は、後期更新世(約13万?12万年前)以降に活動したとみられる地層のずれを確認した。

 政府の原発耐震指針では、後期更新世以降の地震活動を活断層と認定し、耐震設計上、考慮に含めるよう定めている。東電はこれまで、湯ノ岳断層について、目視調査で、活断層ではないと判断。8月に公表した調査報告で、「第1、第2原発で想定した最大の揺れの強さ(基準地震動)を下回っており、耐震的に問題ない」としていた。保安院の森山善範・原子力災害対策監は会見で、各電力会社が実施している活断層調査の見直しについて「湯ノ岳断層の現地調査などの結果を踏まえ、反映できる点があれば反映する」と明言は避けた。【中西拓司】

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