「3月15日朝の水素爆発について米政府の専門家は4号機の使用済み燃料プールが干上がり、水素が大量発生したと推測。東電が同日、約650人いた作業員の約9割を退避させた・・・これを受け、米核研究機関は燃料プールが全て干上がる「最悪の事態」を検討。放射性物質が首都圏にも拡散する試算、大統領に報告された。日本側へは示されなかった」・・・地震が多発している現在、燃料プールが全て干上がる「最悪の事態」は、まだ解消されていない。
米、日本の対処能力疑う 4号機爆発、作業員退避で
(’12/3/10 中国新聞)
東京電力福島第1原発事故でオバマ米政権が、昨年3月15日に4号機の水素爆発で作業員の大半が退避した時点で、日本の対処能力を疑い、対日支援リスト提示や米軍特殊専門部隊投入など本格支援に踏み切ったことが10日、分かった。
米側が、東京に放射性物質が飛散する最悪事態を独自に予測、日本が3月25日に作成した最悪シナリオを即座に入手していたことも判明した。複数の米政府高官が共同通信に語った。
日本政府は最悪シナリオを国民に知らせず封印し、今年1月まで開示しなかった。同盟関係にあるとはいえ、米側と即刻共有していたことは危機時の情報管理として論議を呼びそうだ。
米高官によると、3月15日朝の水素爆発について米政府の専門家は4号機の使用済み燃料プールが干上がり、水素が大量発生したと推測。米軍無人偵察機が探知した温度上昇がこの見方を強めた。
さらに東電が同日、約650人いた作業員の約9割を退避させたため「いずれ作業を放棄するのではないか」との疑念が米政府内で浮上した。
これを受け、米核研究機関のローレンス・リバモア国立研究所(カリフォルニア州)は燃料プールが全て干上がる「最悪の事態」を検討。放射性物質が首都圏にも拡散する試算が2日程度でまとまり、大統領に報告された。日本側へは示されなかった。事態がチェルノブイリ事故より悪化すると恐れる専門家もいた。
ある米高官は「爆発と退避がワシントンに大きな変化をもたらした。日本の事故対処能力に対する信頼が失われた。事態が制御不能になっていくように見え、東電も現場を放棄しだした。仰天した」と言明した。
米側はその後、注水用の資機材を提供し、特殊専門部隊「CBIRF(シーバーフ)」を日本に派遣。同部隊は米本土での核テロ対処などが使命で、二つの部隊の一つを初めて海外展開した。
ホワイトハウスでは連日、大統領への特別報告が行われ、国家安全保障会議(NSC)の会合も開催。国務、国防など各省の担当者40人以上が出席することもあり、オバマ政権下では「過去にない規模に膨れ上がった」(同高官)という。