2号機大量放出 「格納容器上部から」
(2012年3月20日 東京新聞)
東京電力福島第一原発の事故で、東電は十九日、昨年三月十五日に原発周辺の放射線量が急上昇したのは、2号機の原子炉を覆う格納容器の本体と上ぶたの接続部分や配管のつなぎ目から、大量の放射性物質が漏れたことが原因だった可能性が高いと発表した。これまでは、格納容器の下部にある圧力抑制室が損傷し、そこから漏れたとの見方が強かった。
福井市で十九日に始まった日本原子力学会の特別シンポジウムで調査状況を報告した。
東電によると、昨年三月十五日午前六時十分、敷地内で「大きな衝撃音」が発生。ほぼ同時に2号機の格納容器下部にある圧力抑制室の圧力が大気圧(一〇〇キロパスカル)を下回るゼロキロパスカルになり、午前九時には原発正門での放射線量が毎時約一二ミリシーベルトまで急上昇した。
当初、東電は圧力抑制室付近で爆発があったとみていたが、その後、敷地内の地震計のデータから衝撃音は4号機の水素爆発によると修正していた。
東電の宮田浩一・原子力安全グループマネジャーは、十五日午前七時の時点で、格納容器の圧力が設計上の限度に迫る七三〇キロパスカルあったのに、同十一時には大気圧に近い一五〇キロパスカルにまで急低下したと指摘。「この段階で大量の放射性物質の放出があったと推定している」と説明した。
圧力抑制室の圧力が真空状態を意味するゼロキロパスカルを示したことは、「(大気圧より低くなるのは考えにくく)計器の故障の可能性が高い」と述べた。
原発からの放射性物質の放出は、この日が最も多く、風向きや雨の影響で福島県飯舘村などに落ちて土壌を汚染したとされる。