京都大学原子炉実験所助教 小出裕章へのインタビュー
(2012年1月12日 たね蒔きジャーナル- YouTube)から抜粋(一部要約)
―韓国のキョンジュ市にあるウォルソン原発の原子炉がトラブルで止まったというニュースが入っています。実は韓国には原発が21基もあって、もし韓国で原発事故が起きたら日本にも放射性物質の影響は及んできますよね
はい、当たり前ですね。
―日本にも事故の影響で、人が住めなくなる地域が出るとかいうような可能性も出てきますか?
もちろんそうですけれども、実は今日、私の研究室に韓国のテレビ局の方が取材に来られました。そして、福島第一原子力発電所の事故を中心にしていろいろなインタビューを受けて、お答えしました。そのなかで、韓国の人たちが知りたいことの1つに、日本のもんじゅという原子力発電所が事故になったときに韓国までどういう被害が飛んで来るかということを私は聞かれました。もんじゅという非常に特殊な原子炉があって、プルトニウムを大量に燃やそうとしてるわけですが、それで事故が起きて、もしたまたま東から風が吹いていれば韓国にも影響が出るでしょうと私はお答えをしたのですが、もちろん韓国の原子力発電所で事故が起きて、西風が吹いていれば日本が被害を受けると。
逆のことがあたり前のこととして起きるわけですね。ただ、私は思うのですが、皆さん、自分が被害を受けるということが何よりも関心事のようなのですが、私にとっては、自分が加害者になるということが一番嫌なことなのです。
ですから、韓国の原子力発電所の事故を心配するよりは、むしろ日本の原子力発電所で事故を起こして、他の国々に迷惑をかけるというようなことを何としても私は避けたいと思います。韓国の原子炉であろうと中国の原子炉であろうと、もちろんみんな危険ですけれども、日本に今ある原子力発電所をどうするのかということを私たちが考えるべきだと思います。
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―原子力発電所の近くに住むフランスの子どもたちは、白血病の発病率が通常の2倍であることが、フランスの国立保健医学研究所やフランス放射線防護原子力安全研究所の専門家の調査結果であきらかになったというニュースが伝わってきていますが、小出さんはどうごらんになりますか?そういう研究は山ほどあります。今回はフランスの原発の周辺ということですけれども、昔から米国の原発周辺でもそういうデータが公表されていますし、イギリスのセラフィールド再処理工場の周辺でも、白血病が多いということは確定的な事実として、みんなが認識しています。ただし、それが本当にその原子力施設からの被曝の影響なのかどうかということで議論は継続していますが、原子力施設周辺で白血病が多い、ガンが多いということは、かなりのデータがすでに蓄積してきています。