放射能汚染で菅谷・松本市長「子を守る自覚を」 医師の立場で講演

放射能汚染で菅谷・松本市長 「子を守る自覚を」 医師の立場で講演
(2012年3月5日 東京新聞)

 甲状腺疾患の専門医で、長野県松本市の菅谷(すげのや)昭市長が、ひたちなか市の市文化会館で「いま、ここでできること―チェルノブイリをくり返さないために―」と題し、福島第一原発事故の放射能汚染について講演した。市内の母親たちでつくる「希望のかけはし会」が主催し、約三百八十人の市民が耳を傾けた。

 菅谷市長は旧ソ連のチェルノブイリ原発事故後、ベラルーシに五年半滞在し、甲状腺がんに苦しむ子どもの治療に当たってきた。

 同原発周辺の低濃度汚染地帯では子どもの免疫力低下や未熟児が増えていることを報告し、原発から三十キロ圏内は現在も人が住めないと説明した。チェルノブイリでの経験から「除染に過大な期待をせず、福島でも同じ状況になるかもしれないことを頭に入れてほしい」と訴えた。

 同事故から数日後にヨウ素剤の配布を決めたポーランドの例を挙げ、「当然知っておくべき対策で、初期にやらないと遅い」と事故後の日本政府の対応を批判した。子どもへの影響を懸念する参加者の質問にも「もう政府に頼るのはやめ、子どもを守るために自分が何をするかが大事だ」とそれぞれの自覚を求めた。 (近藤統義)

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