原発を再稼動させようとしている政治家たちに読ませたい
アーネスト・スターングラス博士の講演録
スターングラス博士は、アメリカとソ連が核実験を繰り返していた冷戦当時、核実験の死の灰(放射性降下物質)による放射線の影響で世界の子どもたちの白血病やガンが急増している事実を議会で報告し、それがきっかけとなって米ソ核実験停止条約が締結されました。
「低線量被曝」の世界的研究者であり、原発は事故が起こらなくても日常的に放射性物質を放出している事実とその放射性物質による低線量被曝によって様々な病気が増えていることを発表しています。
「放射線と健康」アーネスト・スターングラス博士 2006年講演の要約
原発がないネバダやケンタッキー州では、核実験が終わると乳児死亡率が減少しましたが、原発がある州ではベースライン(核実験がなかった場合に予想される乳児死亡率)に戻りませんでした。これは原発が関係していることを示す非常に明確な証拠です。
ガン死亡率が原発からの距離に比例して低くなっています。原子炉があるところでは(原発事故がなくても)5年間で58%死亡率が上昇しました。ガンは原子炉からの核物質放出を明瞭に反映するインジケーター(指標)です。
米国のコネチカットで原発が稼働し始めてから5年後に急激な甲状腺がんの上昇がはじまり、チェルノブイリ事故から5年後に大きな上昇が起きました。(自国の原発事故でないにもかかわらず)ガン発生率が0.8から4.5に5倍も増大したのです。
乳がん発生率が核実験中に上昇し、コネチカットで最初のハダムネック原発が稼働すると急激に上昇。ミルストーン原発が稼働すると、その5〜8年後に大きく上昇しています。日本でも同じような研究をすべきでしょう。
政府は「肺がん等は喫煙が原因だ」と皆さんに信じてほしいと思っています。大規模核実験が終わった1961年から90年までに18歳以上の女性の肺がん死亡率は5倍以上になっています。実際には女性の喫煙率はどんどん落ちているのです。
世界中の政府や国際原子力安全委員会などは「放射能による影響はガンと子どもの先天性障害だけだ」と皆さんに信じ込ませようとしていますが、実は様々な面で健康に影響を及ぼしています。1981~2002年に米国の糖尿病罹患者は580万から1330万に増加。同時に原発の稼働率は倍増。原子炉の検査やメンテナンスや修理の時間がより減少してきました。その結果、振動によってひび割れや放射能漏れが起きています。
ストロンチウム90はイットリウム90に変換します。実験動物で膵臓に最もイットリウム90が蓄積していました。膵臓はインシュリンを分泌する重要な臓器で、ダメージを受けると糖尿病になります。米国と日本は膵臓がんが非常に増加しています。
日本の膵臓がん死亡率は、1930年から1945年ころまでは低く、まったく変化がありません。しかし、1962〜63年ころまでには12倍に増加しています。この12倍になった死亡率が、2003年までに、さらにその3倍から4倍になったのです。ストロンチウム90やイットリウムが環境に放出されることがなければ、膵臓がんの死亡率は減少していたでしょう。