福島原発4号機 プールの水が漏れたら 人類史上最悪の事態に

原発は、稼動させればさせるほど被曝作業者がたくさん必要になる。今も福島第一原発では事故処理にあたる技術者が不足している。そして、今後も十年以上、事故処理作業を続けなければならない。福島の大きな危機を食い止めるために一人でも多くの「被曝労働者」を確保しないといけない状況の中で、政府は原発を再稼動させようとしている。歴史に残る愚かな政府である。

福島原発4号機 プールのヒビ割れだけでも人類史上最悪の事態に
(週刊朝日 2012年3月16日号)

 福島第一原発事故の直後、CNNテレビで「すでにチェルノブイリと同じレベルだ」と指摘した米原子力技術者、アーニー・ガンダーセン氏。さらに原発の即時全廃を訴える作家・広瀬隆氏が対談で福島第一原発4号機の危機的状況を指摘した。

*  *  *
広瀬:私の講演会では、ガンダーセンさんが3号機の爆発で、使用済み核燃料プールで即発臨界が起こった可能性について解説しているインターネットの動画を見せています。東京電力は認めませんが、私はあなたの解析に間違いないと思います。

ガンダーセン:今は、爆発の原因を厳密に特定するのは難しい段階ですが、上向きのベクトルで劇的な爆発が起こったこと、爆発位置と偏りを考えると、核燃料プールで不慮の臨界が起こったと考えるのが自然です。

広瀬:原発敷地内で極めて高い放射線量が検出されたのも、臨界暴走でプールの核燃料が飛び散ったと考えると、現場の状況と符合します。著書『福島第一原発 ―真相と展望 』(集英社新書)では「4号機のプールで火災が起きたら、日本を脱出せよ」と警告していますね。

ガンダーセン:4号機の核燃料プールは、今も日本列島を物理的に分断するほどの力を持っています。震災時、このプールには炉心数個分もの使用済み核燃料が入っていたのです。大気圏内で行われた過去の核実験で放出された総量に匹敵するほどの、放射性セシウムが眠っています。

広瀬:しかも、おそろしいことに、核燃料プールは遮蔽されていません。

ガンダーセン:まさに「格納されていない炉心」です。今は水で冷やしていますが、プールにヒビが入るなどして水位が下がり、冷却できなくなると、温度が上がって燃料棒の鞘であるジルコニウム合金が発火するのです。こうなると、もはや水では消火できない。核燃料が大気中で燃えるという、人類のだれも経験したことはない、おそろしい状況になるのです。

広瀬:今回の事故とはけた違いの膨大な放射性物質が出てくる。大惨事です。

ガンダーセン:まさしく。震災直後、日本では1、3号機の爆発に気を取られていましたが、米原子力規制委員会(NRC)は、この事態を非常に心配してきました。私自身もそうです。

広瀬:私は、ボロボロの4号機の燃料プールがガラッと崩れて、核燃料がバラバラと飛び散る事態を心配してきましたが、燃料プールのコンクリートに亀裂が入っただけで終わり、ということですね。

ガンダーセン:科学にとって未知の大惨事になります。


アーニー・ガンダーセン(Arnie Gundersen)
1949年生まれ。原子力技術者、エネルギー・アドバイザー。レンセラー工科大学修士課程修了。エンジニアとして全米で原子炉の設計、建設、運用、廃炉に携わり、エネルギー省の廃炉手引き(初版)の共著者でもある。原子力業界の重役を務めた後に妻のマギーと設立したフェアウィンズ・アソシエイツ(Fairewinds AssociatesInc.)は、原子力発電に関する調査分析や、訴訟・公聴会における専門家としての意見提供を行っている。


「原発危機は続いている」それでも再稼働は大丈夫?

ー危険な4号機ー3/8モーニングバード(動画&内容書き出し)
(テレビ朝日「モーニングバード」2012年3月8日放送)から抜粋

玉川:
福島第一原発の事故の本当の原因もちゃんと分かってない。
国会で事故調査をするっていう、事故調査の結論も、まだ出ていないんですよ。
ですけど、もう、どんどん、どんどん動かすという話ばっかりが進んでいる。

たとえば、東電の福島第一原発、今すでに安全なのか?
もう、終わったような話をしていますけれど、終わっているのか?本当に。
”2大政党が再稼働しようとしているが、福島第一原発事故は収束したのだろうか?”

4号機の現状。実は京都大学の小出先生はこれを一番心配しているんですね。
まず、4号機の現状ですけれども
もう壁なんかもない位に、これぐらい吹き飛んで、ボロボロです。

燃料プールの中に燃料棒がいっぱい入っているんですよ。
原子炉に入る燃料の2・8倍、1535本以上がここにある。
で、これは冷やし続けなければならない。

じゃあ、たとえば地震がきて、水が漏れだしたらどうなるんだろう?
これを小出先生にお話しを伺っていますのでVTR

ーー

小出:
もし、これから大きな余震でも起きて、ここの壁が崩壊するようになれば、
プールの水が抜けてしまいますので、使用済みの燃料を冷やすことが出来なくなる
そうすると、どんどん、またさらに溶けてしまうという事になって、
使用済み燃料が、多分全て溶けてしまうだろうと思います。

そうなると、使用済み燃料の中に含まれていた膨大な放射能が、
何の防壁もない、ここから外へ吹き出してきてしまうという、

玉川:
地震が来ないうちに使用済み燃料を抜き出して、
横にまたプールでも作ってですね、移せばいいんじゃないですか?

小出:
ところが使用済み燃料を空中につり上げるような事をすると、
使用済み燃料から膨大な放射線が飛び出してきて
周辺の人達は、もう死んでしまうしかないという位の強い

玉川:そんなに強いんですか?

小出:そうです

ーーースタジオ

玉川:
プールの中に入っているからって、もう、終わったもんじゃないんですね。
まだまだ熱を出しますし、まだまだ空中につり上げるとですね、
周りにいる人たちが死ぬぐらいの放射線が出ているんですよ。
水の中に入っているから、水でこれが遮られているだけの話なんですね、

「外に移せばいいんじゃないか」というような話を私は聞きましたけれども、
今まで万全な時にはどうやって移していたかというと、
でっかい容器を水の中にまず入れます。
水の中で、この容器の中に燃料棒を入れて、水が入った状態で蓋をして、
つり上げて出しているんですね。

ところが、地震で、こういうクレーンとかが、もう使えないんですよ。
どうするんだ!というふうな話なんですが、どうやって移せばいいんだと。

ーーーVTR

小出:
オペレーションフロアの上に巨大なクレーンのようなものがみえます
巨大な容器をつり上げたり釣り下ろしたりするためのクレーンなんですが、
建屋が爆発で吹き飛んでしまっていますから、もうこのクレーンすらが使えない。

やらなければならない事は沢山あって、まずは使用済み燃料プールの中に
崩れ落ちてしまっているがれきなどをどけなければいけない。

そして、どけた後に、巨大な容器を沈められるように、
なんらかのクレーンのようなものを現場で動かせるようにしなければいけない。
外から巨大なクレーンで、吊るという事が出来るでしょうから、その準備をする。
そして、多分、何がしか壊れているであろう使用済み燃料をその巨大な容器に入れて、
それをまた外につり上げるという事をやらなければいけない。

ただ、そういう事を全部やろうとすると、
多分、何年という単位が必要になると思います。

玉川:
そうすると、その何年の間に、
壊れるような、この建物を壊すような地震が来たら、それは・・

小出:おしまいです

玉川:おしまいですか?

小出:はい

ーーースタジオ

玉川:おしまいなんですよ

立花:信じられない

羽鳥:わぁ??

立花:信じられない

玉川:
大きな地震があって、
大きくなくてもですね、これ、何回も揺らされていますからね。
何回も揺らされているところに、たとえばプールにヒビでも入ってですね、

羽鳥:その水が、いま、

玉川:抜けちゃったら、

羽鳥:抜けちゃったら、おしまい?

玉川:東京とかまで含めてアウトです。

立花:それで再稼働なんて言ってるんだ・・・

玉川:
だから再稼働も、少なくても国会事故調の結論が出てからじゃないと、
規制庁だって作っちゃ・・・
どんな規制庁にするのかっていうのも、国会事故調を見なきゃいけないし、

松尾:
ただ、「地元の理解を」っていう言葉があったんですけどもね、
地元ってね、日本中が地元なんだ。
あるいは近隣の国も全部地元なんだよという事を考えないと、
この件に関してだけは、そこに建っている、立地しているところだけが
地元じゃないんだということを皆が思っていないといけないですよね。

羽鳥:
収束なんてとんでもなくて、相当危機的な状況が今も続いているっていうのを
認識しないとダメですね。

立花:こんなんで再稼働なんて言っている人、もうね、やめて欲しいですね。

松尾:名前を出して意見を聞いていきたいですね。


保安院「千~2千人技術者不足」 作業員被ばく限度の変更要望
(西日本新聞 2011年7月28日)

 東京電力福島第1原発事故の作業員の被ばく線量をめぐり、経済産業省原子力安全・保安院は28日、従来の運用では「千〜2千人の熟練技術者が不足し、事故の処理や全国の原発の運用に重大な支障が生じる」との文書を4月に厚生労働省に提出し、運用の変更を要望していたことを明らかにした。

 平常時の放射線業務従事者の被ばく線量限度は「年間50ミリシーベルト、かつ5年間で100ミリシーベルト」。厚労省は福島第1、第2原発での作業に限り限度を250ミリシーベルトに引き上げた。

作業員の生命を守るためにも 全国の原発を停止し、福島に集中を
(2011/08/02 風の便り)から抜粋

これまでで最も高い、毎時1万ミリシーベルト(10シーベルト)を超える放射線が計測された。計測器の限界を超えており、どれほど高い放射線量なのかわからない。仮に、10シーベルトであっても1時間そこで作業するとほぼ全員が死亡する。福島第1原発だけに設定された「緊急被ばく限度」250ミリシーベルトも90秒で超えてしまう。

これまでに分かっているだけでも被ばく量が250ミリシーベルトを超えた作業員が6人もいる。事故処理作業員のこうした高線量被ばくを抑えるためにも全国の原発を止めて、ベテランの原発作業員を福島の事故処理に集中させる必要がある

関係者は証言している。「本当は『原発職人』は全国にたくさんいるはずなんですよ。でも会社が出さない。福島で働くと他で仕事ができなくなるから」


福島第1原発:高線量被ばくの作業員は2160人
(2011年7月27日 毎日新聞)から抜粋

 経済産業省原子力安全・保安院と東京電力は27日、福島第1原発事故の収束作業に当たる作業員のうち、事故収束までの高線量被ばく者数の3月下旬時点での試算を発表した。50ミリシーベルト以上100ミリシーベルト未満が約1680人、100ミリシーベルト以上が約480人だった。

 保安院などによると、試算は保安院の指示を受け、東電と原子炉メーカーの東芝、日立製作所の計3社が実施し、保安院に結果を報告。厚生労働省の内部文書内に「経産省によると50ミリシーベルト超は約1600人」との記載があることが市民団体の情報公開請求で明らかになったため発表した。

 試算結果を4カ月近く公表しなかった理由について、保安院の森山善範原子力災害対策監は「個別の企業情報が含まれているため」などと説明。内部文書の開示を受けた「全国労働安全衛生センター連絡会議」の飯田勝泰事務局次長は「もっと早く作業員に知らされるべき情報だった。隠していたとしか思えない」と批判している。

 東電によると、今月13日現在、100ミリシーベルト以上の被ばくをした作業員は東電と協力企業の計111人。

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