原発再稼働議論で国を批判 佐藤知事「事故検証まだ」
(2012年4月13日 福島民友ニュース)
原発の再稼働の可否を判断する新たな安全基準について、佐藤雄平知事は12日、定例会見で「東京電力福島第1原発事故の検証も終わらないうちに再稼働の議論をすることは問題」と述べ、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に向けた政府の動きを批判した。佐藤知事が本県以外の原発再稼働問題で発言したのは初めて。佐藤知事は政府に対し「需給面よりも安全最優先で進めてほしい」とも注文。政府の原子力政策に原発事故被災県の立場から意見を述べていく姿勢に転換した形だ。
佐藤知事は、県が復興計画の中で「原子力に依存しない社会づくり」を理念に掲げていることを挙げた上で「原子力災害は進行中と認識している。本県の厳しさ、実態を分かっているのか」と述べ、すでに「収束宣言」している政府の対応に苦言を呈した。
・
富岡町全域 帰還困難と同額賠償に 有志の会が要望
(2012/04/13 09:22 福島民報)
富岡町民有志でつくる「原発被災者の会・富岡」は12日、双葉郡内への中間貯蔵施設建設などの交渉に際し、町内全域を帰還困難区域と同等の賠償とすることを国に求めるよう町に要望した。
要望は、中間貯蔵施設を受け入れる条件を建設同意と、放射性物質を含む廃棄物の搬入許可の二段階にすることや、同意後も想定外の被害に備えて搬入の拒否権を持つこと、30年後の最終処分場建設を拒否権の行使を含めて法律に明記することが必要としている。
避難区域の見直しについて、年間被ばく量限度は1ミリシーベルトを目指すべきとし、政府が示す値の4分の1とした5ミリシーベルト以下を避難指示解除準備区域と厳格化し、他も5ミリシーベルト超20ミリシーベルト以下を居住制限区域、20ミリシーベルト超を帰還困難区域とするよう指摘。住民非居住となる緩衝地帯は居住制限区域から5キロ、東京電力福島第一原発から10キロで線引きすることを挙げた。
賠償は、住民の帰還にかかわらず、町内全域を帰還困難区域と同等の賠償を求める。帰還する住民のために年間1ミリシーベルト以下に除染する「小さな富岡町」の整備を進めるべきとした。
被災者の会の石黒紀昭最高顧問、村井良一会長らは同日、郡山市のビッグパレットふくしまで遠藤勝也町長と面会し、要望書を手渡した。石黒最高顧問は「納得できる賠償が決まれば住民は安心して帰還する日を待つことができる。国が事故収束に最後まで責任を持つべき」と主張した。
遠藤町長は「中間貯蔵施設は最後のとりで。安易な妥協はせず、毅然(きぜん)とした態度で国と協議する」と述べた。
【写真】遠藤町長に要望書を手渡す石黒最高顧問(左から2人目)、村井会長(同3人目)ら
(2012/04/13 09:22)