【電力不足は計58時間】今夏全体の2・8%  関電、原発ゼロ時

【電力不足は計58時間】今夏全体の2・8%  関電、原発ゼロ時
(2012/04/12 10:28 共同通信)

 関西電力の全原発停止が続いた場合、電力需要が昨夏並みだと、今夏に電力が足りなくなるのは計58時間で全体の2・8%となり、ほとんどの時間は電力不足を回避できる可能性があることが関電の公表データから11日、分かった。

 関電は供給力不足のため、大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働が欠かせないと強調している。今回は、供給力と昨夏実績の単純比較だが、需要が大きくなる時間帯の対策ができれば、再稼働を急がなくて済む可能性があり、短時間のピーク時対応が最重要課題と言えそうだ。

 関電は今夏の需給見通しで、原発ゼロの場合の供給力は2574万キロワットとしている。昨夏の電力使用量が最大だった8月9日午後2時の2784万キロワットに対し、210万キロワット不足すると主張しているが、夏の間、ずっと不足するわけではない。

 そこで関電が公表している昨夏(6月30日?9月22日の85日間)の1時間ごとの電力使用実績データ(速報値)から電力不足となる時間を調べた。

 2574万キロワットを超えたのは12日間で計58時間。85日間(2040時間)の2・8%に当たる。8月9日は1日のうち2574万キロワットを超えたのが10時間、翌10日は8時間、他の10日間は1日3?5時間。それ以外の全体の97%以上の時間は、下回っていた。

 2574万キロワットを上回っていたのは昼ごろから夕方が中心だが、午後0~1時は使用量が減り余裕がある日があった。操業時間の工夫などで需要を抑える余地があることがうかがえる。

 大飯原発再稼働をめぐり、野田佳彦首相や枝野幸男経済産業相らは安全性を事実上確認し、近く需給の面で再稼働が必要かを協議する。枝野経産相は、電力に余裕があれば再稼働させないと発言している。

▽ピーク時対策が鍵

 【解説】大飯原発を再稼働しないと深刻な電力不足になると関西電力は説明してきたが、長期間続くわけではなく、特定の日の特定の時間帯に限られることが関電のデータで判明。再稼働が必要かどうかは、需要が集中するピーク時の対策が鍵を握るといえる。

 電気を使う時間をピーク時から他の時間に振り分け、供給力の掘り起こしができれば、原発ゼロで夏を乗り切ることが現実味を帯びる。それには、政府や関電がどこまで対策を進める意志があるかが大きく影響する。

 ピーク時対策として、その時間帯の電気料金を特に高くしたり、電気の使用を控えた企業に料金を還元したりする方法で、企業が大量の電気を使う時間帯をずらせるとみる専門家が多い。通常は料金を安くする代わりに必要な場合は電力使用を抑えてもらう契約に基づき、企業に最大限の協力を求める責任も関電にはある。

 供給面も、揚水発電や外部からの電力調達などでさらに増やせないか、十分な検討が必要だ。

 東京電力福島第1原発事故は原因究明が終わっていない。夏のうち数十時間の電力不足対策として原発を再稼働すべきか。データを全て示し、国民的な議論を深めることが不可欠だ。

 (共同通信)
2012/04/12 10:28

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