コーヒーの歴史 1

今では世界中で飲まれているコーヒーですが、もともとはアフリカ大陸のエチ
オピアの高原で自生していた作物でした。

コーヒーの記載が初めて文献に登場するのは、10世紀初頭(900年頃)のこと。
アラビア人医師、ラーゼスが記した書には、「バンカム(コーヒーのこと)
は熱く口当たりよき飲み物なりて、胃にもきわめてよし」とあり、当時のアラ
ビアでは薬用として使われていたことがわかっています。

13世紀に入ると、コーヒー発見の伝説がいくつか残されています。

◆眠らない修道院
エチオピアのカルディというヤギ飼いが、ある日自分が世話をするヤギがあ
る赤い実を食べると、騒がしく 興奮状態になることに気づきました。
近くの修道院の院長にこの話を伝え、茹でて飲んでみることにしました。する
と気分が非常に爽快になったので、夜の儀式中に居眠りをする修道僧たちに飲
ませてたところ、弟子たちは居眠りもせずに勤行に励むことができました。
やがて「眠らない修道院」の噂は国中に広まり、魔法の木の実が競って求めら
れるようになったそうです。

◆オマールの伝説
イスラム教の高僧の若い弟子オマールは、王女に恋をしてしまっため、モカの
地から追放されてしまいます。
山中を空腹で歩いていると、小鳥がついばんでいた赤い実に気づき、その実で
スープを作って飲みました。するととても元気が出たそうです。その後スープ
の効用で病人を救った彼は、許しを得ることができ、コーヒーを発見した聖者
として崇拝されるようになったそうです。

このように、薬用植物として注目されたコーヒーですが、特にアラビアではイ
スラム寺院の中で心身に爽快感を与える特別な飲み物として大切にされ、14世
紀頃からは、アラビア人によってトルコ・エジプト・イラクなどにもコーヒー
を飲む習慣が伝わっていきます。

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