第27話.コーヒー樹に囲まれた生活空間

ジャカランダ農場の最も標高の高い牧草地から大地を臨むと、10万本のコーヒー樹が植えられた丘陵のうねりの中に、波間を漂う小舟のように点在する10数軒の家屋を見つけることができる。

ジャカランダ農場に点在する家屋
ジャカランダ農場に点在する家屋

現在、ジャカランダ農場には、コーヒー栽培に携わる16人の農場スタッフと、その家族40人が定住し、コーヒーから得られる収入と、それぞれの家庭で営まれる菜園と家畜により生活を築いている。

ジャカランダコーヒーは、農場主カルロスの構想のもとに注がれた彼らの労働なくしては語れない。足場の不安定な斜面に機械は持ち込めず、草刈り、堆肥の散布、コーヒーの実の収穫などは、すべて手作業で行われる。そのため、コーヒー栽培の仕事はおのずと厳しい肉体労働が中心となる。

それでもジャカランダ農場の土に根ざした生活空間は、日々の厳しい労働を優しく包み込む不思議な安らぎがある。世代を越えて受け継がれてゆくコーヒー栽培の歴史。そして、コーヒー樹とともに土に根ざしたその生活空間は、今もなお変わることはない。

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「ジャカランダコーヒー物語」

ブラジルにて「不可能」と言われていたコーヒーの有機栽培を丁寧な土作りと「いのちを大切にしたい」という想いから成し遂げたジャカランダ農場。農場主の故カルロス・フランコさんとジャカランダ農場の軌跡をお伝えします。

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