コーヒーの収穫は、通常5月から9月にかけて行われる。
収穫が終わると、コーヒー樹は白い花を咲かせる。そこに付く光沢のある緑色のコーヒーの実は、やがて黄色や赤、そして黒色へと1年を通して色を変えながら熟していく。
実が成長し、「有機無農薬ジャカランダコーヒー」として日本の食卓に上がるまでの間、繰り広げられる作業の数々を写真で辿る。
9月
収穫が終わった後の土の状態を分析するカルロスとニーノ。来年の収穫に向けて、新しい土作りが始まる。
10月
牧草の1種のアマルゴーゾを除草する。生命力が強いためかなり深く土を掘り起こさなけらばならない。
11月
15年から20年の寿命を終えたコーヒー樹を、新しい苗木に植え替える作業。実をつけるまでの3年間、大切に育てられる。
12月
コーヒーの実の外皮を主原料として作られた堆肥。コーヒー樹や土壌にとってより良い堆肥を作るため研究が続けられている。
1月
堆肥の散布作業。1本のコーヒー樹につき、4キロから5キロの堆肥が散布される。
2月
日中の気温はときに40度に達するこの時季、コーヒー樹を覆い隠す勢いで草が伸びる。ひたすら草を刈る。
3月
収穫前の整地作業。コーヒーの実を採る際に地面に落ちた実を採取しやすいように、コーヒーの樹の根元を掃除しておく。
4月
収穫された実は速やかに天日で乾燥し、コーヒー豆に加工しないと風味を損なう。マリアーノは実から外皮を取り除く機械の整備に追われる。
5月
いよいよコーヒー豆の収穫作業が始まる。たくさんの人がコーヒー園に現れ、農場が最も賑わう時季。
6月
コーヒーの実に太陽の光がまんべんなく当たるように、切りかえし作業が行われる。夜露や雨に濡れることがないよう注意が必要になる。
7月
コーヒーの実から外皮が取り除かれ、豆が精選される。残った外皮は、貴重な有機質として土に還元される。
8月
精選されたコーヒー豆が60キロ入りの麻袋に入れられ出荷される。その後は、サントス港から日本までおよそ1ヵ月半の船旅が待っている。
サントス港から
CFフランコと表記された60キロ入りの麻袋は、コンテナに250俵積み込まれる。病害虫の侵入を防ぐため、外部からは完全に遮断される。
日本での荷受け作業
船で約1ヵ月半の長旅を終えたコーヒー生豆は、有機コーヒー社の倉庫に収められる。60キロの重さは、ブアジルでも日本でも変わらない。肩にずしりとのしかかってくる。
有機無農薬ジャカランダコーヒーの誕生
生豆の状態で日本に届いたジャカランダ農場のコーヒーは、有機コーヒー社の焙煎工場で焙煎されて、「有機無農薬ジャカランダコーヒー」となり、日本の食卓に上がる。
焙煎作業
ジャカランダコーヒーのパック詰め作業
[第37話を読む|終]
「ジャカランダコーヒー物語」
ブラジルにて「不可能」と言われていたコーヒーの有機栽培を丁寧な土作りと「いのちを大切にしたい」という想いから成し遂げたジャカランダ農場。農場主の故カルロス・フランコさんとジャカランダ農場の軌跡をお伝えします。
- 第1話.カルロスの祖先から
- 第2話.カルロス・フェルナンデス・フランコの誕生
- 第3話.幼年時代、豊かな自然のなかで
- 第4話.父イザウチーノのコーヒー栽培
- 第5話.カルロスの原風景
- 第6話.初恋
- 第7話.青年時代、ブラジルの大河に橋をかける
- 第8話.ジャカランダ農場主として
- 第9話.農薬の到来
- 第10話.次女テルマからのレポート
- 第11話.カルロスと農場スタッフ
- 第12話.福祉活動との関わり
- 第13話.コーヒーの有機栽培へ
- 第14話.リスクを背負って
- 第15話.ジャカランダ農場が受けた被害
- 第16話.本当の豊かさを求めて
- 第17話.「幸運」な出来事
- 第18話.水俣病との出会い
- 第19話.無農薬野菜の産直運動
- 第20話.チェルノブイリ原発事故
- 第21話.病に倒れて
- 第22話.ブラジル、遠く広く
- 第23話.想いを全て伝えて
- 第24話.有機栽培の意味を実感するとき
- 第25話.苦境を越えて
- 第26話.視線は地平線の遥か遠くまで伸び
- 第27話.コーヒー樹に囲まれた生活空間
- 第28話.コーヒー樹を見守り続けて 〜現場監督 ニーノの仕事〜
- 第29話.労働のなかの静かな祈り
- 第30話.コーヒー園に響く幼子の声と歌
- 第31話.ジャカランダコーヒーの生豆、60キロの重さ
- 第32話.老いてもなお
- 第33話.夏の草刈り
- 第34話.日が暮れて
- 第35話.ある雨の日の事故
- 第36話.土曜の夜、協会で
- 第37話.ジャカランダ農場、故郷として
- 第38話.写真でたどるジャカランダコーヒーの旅路 -土から生まれて食卓に届くまで-