フェセグ協同組合(以下、フェセグ)で大切にしているのは、「団結」と「チームワーク」です。2001年に世界的にコーヒー価格が下落した時、グアテマラでも生産にかかる費用がまかなえなくなった多くの生産者が、コーヒー栽培を諦めました。こうした中、生活の質を高め、しあわせに暮らすことを目指して6つの生産者団体が集まり、2006年に設立されたのがフェセグです。
グアテマラでは土地所有者から土地を分配するプログラムがあり、土地を取得した人が小規模生産者として農業に取り組んでいます。フェセグもそんな小規模な生産者の集まりの一つです。所属する生産者は女性295人を含む880人で、16の地区に暮らしています。
標高差から生まれる多様な作物
フェセグでは標高に応じて多様な作物を栽培しています。コーヒー以外にもマカダミアナッツ、サトウキビ、そしてハリナシミツバチを用いた養蜂も盛んです。
養蜂に関しては、特に2009年から力を入れて取り組んでおり、地域にモデル農園を設置して生産者が学ぶための場を提供し、コーヒー栽培と養蜂を複合的に組み合わせた安定した生産活動の取り組みを進めています。
こうしたフェセグの取り組みを引っ張っているのが代表のフアンさん。とても勉強熱心で、弊社を訪問してくれた時にはメキシコのトセパン協同組合(以下、トセパン)でのアグロフォレストリーの話に感銘を受けていました。そしてその後、フアンさんは実際にトセパンを訪問しています。
その後フェセグでは、生産者への栽培指導、販路の開拓に加えて、集荷したコーヒーの品質保持にも専門の担当者を置いています。このようにして、スペシャリティ品質のコーヒーを生み出しているのです。
内戦の傷跡と女性の社会参加
この他にもフェセグの活動で特徴的なことがあります。それは女性の社会参加を重要視しているということ。9人の女性代表者による女性委員会を設置し、実際に女性が組合の重要な役割を務めています。
このような女性の社会進出を促す理由の1つに、36年間も続いた内戦の影響があります。1996年に和平協定が結ばれて終結した内戦の影響は、今もなおコーヒー生産者が暮らす地域に残っています。
内戦により働き手の男性がある日突然殺害されたり、行方不明になることもあり、女性と幼い子どもだけが取り残されるということもありました。こうした歴史的背景もあり、フェセグでは、女性の地域リーダー育成を重要事項に掲げているのです。