トセパン・ティタタニスケ(以下、トセパン)は、5800名の組合員によって組織されています。組合員の農産物を加工・販売する協同組合です。生産者の多くは、1ヘクタール以下の農地でコーヒーやオールスパイスの栽培をしています。
1977年にトセパンは組織化されました。プエブラ州の山岳地域で小規模農民が育てる農産物の集荷、加工、販売を行っています。毎年のコーヒー販売量は、地域で収穫されるコーヒーのおよそ20%になります。また、オールスパイスはすべてをヨーロッパとアジアへ輸出しています。
トセパンの組織運営
トセパンは、地域住民の生活の質を高め、持続可能な地域社会をつくりだすために、以下の活動を展開していて、4つの組織を立ち上げています。
- 持続可能な農業
-
集荷、加工と流通、栽培指導、苗木の共同育成
- 金融
-
集荷、加工と流通、栽培指導、苗木の共同育成
- 教育
-
他地域への技術協力と地域内外での研修、女性の能力開発と地位向上
- 不動産
-
持続可能な家屋の建設とエコツアーなどへの宿泊サービス提供など
マセウアル・シカウアリス協同組合 | 農作物の流通 |
トエクタネミリリス協同組合 | 家屋の改善 |
トセパントミン | 金融 |
エクネミリス / カルタイクスペタニロヤン | 技術協力/研修 |
トセパンの組織運営
組合発足の前は、毎週日曜日に様々な集会を開いていました。日曜日は、街であるクエツァランの市場に買い物に人々が集まる日でもあったのです。この習慣は継続され、トセパン関連の集会や会議は現在、毎月第2、第3、最終日曜日に実施されています。
組織の運営に関しては、運営管理評議会が主体となり、そこにトセパンの基盤となる地区組合の代表が顔を揃えます。また、農産物の販売や金融など各業務の責任者も参加します。
有機栽培のコーヒーとオールスパイスを始めてから、毎月第2日曜日は有機農家の代表による会合が行われています。
代表者による会合に加え、毎週木曜日は事務局の会合も開かれており、そこには運営評議会、推進委員、各活動プログラムの代表者が参加しています。
組合員にとって、会議は学校に似た学びの場でもあります。当初は、人前で話すことにもためらいがありました。そういった経験がなかったからです。しかし、今では参加者は自信を持って発言するようになっています。
トセパンは、地道な活動と丁寧な対話を積み重ねることで発展を続けてきました。多くの時間とエネルギーを注ぎ、多くの成果を出してきました。35年に及ぶ歴史の中で良い時期もあれば悪い次期もあったと言います。森と共に生きてきた山岳先住民たちの歴史が、そのままトセパンの歴史となっています。次回以降で、トセパンの歴史をお伝えしていきます。
トセパンコーヒー物語 目次
トセパンの概要
第1話「ケツァールの地〜トセパンが活動する地域」
第2話「メキシコとコーヒーの意外な(?)関係」
第3話「トセパン協同組合ってどんな組織?」
トセパンの歴史
第4話「抑圧されてきた先住民たち」
第5章「闘いは砂糖から始まった」
第6話「トセパンを支える作物・オールスパイス」
森林農法・アグロフォレストリ
第7話「森を守り、森を育てるコーヒー」
第8話「「おかげさま」を大切にするフェアトレードコーヒー 」
第9話「森林農法とは?」
第10話「森林農法がもたらす豊かさ〜生物多様性」
第11話「森林農法がもたらす豊かさ〜安心できる暮らし」
トセパンの活動と意義
第12話「トセパンがもたらす組合員の自立と誇り」
第13話「お金はみんなのもの〜トセパントミン」
第14話「より良く生きるため、女性達よ集まれ」
第15話「ホノトラの闘い」
第16話「学び、成長していくこと」
(注)これらの原稿は、トセパンが作成した「30周年組合史(2007)」、ウインドファームとも付き合いが長いメキシコの生態学者パトリシア・モゲル氏の各種論文、ウインドファームスタッフが現地を訪問した際に作成したレポートなどを編集して作成しています