2000年4月1日、ジャカランダ農場にたくさんの人が集まりました。
その数、日本、メキシコ、エクアドル、コロンビア、オーストラリアから20名。
そのなかには、ジャカランダコーヒーの消費者はもちろん、
コーヒー生産者や実際にフェアトレードに取り組んでいる人、学者や学生、
発明家など実に多様な顔触れが含まれていました。
さらに、翌日に行われる有機コーヒー・フェアトレード国際会議には、
およそ400名が参加することになっていました。
なぜ、こんなに人が集まるようになったのでしょう。
10年前、カルロスが取組み始めたコーヒーの有機栽培。そして、日本とのフェアトレード。
それが、すべてのはじまりでした。
「農場で働くスタッフを農薬の危険から守りたい」その想いからはじめた有機農業が、
今、世界の注目を集め、少しずつ広まろうとしています。
多くの人が有機農業に関心を持ってくれ、そして遠い所からこの大地にまで足を運んでくれる。
そのことが、カルロスにとって何よりも嬉しく、自分を勇気づけてくれることでした。
サンパウロからおよそ5時間。ブラジル、ミナス州南部の高原地帯の丘陵を越えて、 スタディーツアーの一行を乗せたトラックがジャカランダ農場に到着。 農場スタッフのジョゼがアコーデオンの演奏を始める。トラックの荷台を降りると、 そこには優しい笑みを浮かべて両手を大きく広げてカルロスさんが待っていた。
カルロスは、およそ20名の参加者に問う。 「今日はたくさん歩いてもらうことになりますが、準備はいいですか?」 そして、皆をを率いて、カルロスさんはどんどん前に進んでいく。 たくさん案内したいところがあるようだ。
農薬を使わないジャカランダ農場には、多くのクモが生息しており、 コーヒー樹にはいつも大きなクモの巣がかかっている。 5,6匹の雲がたむろしているクモの巣を指してカルロスは説明する。 「大切なことは、小さな昆虫や動物などがともに生きていける環境を維持することです」
今回のツアーにはエクアドル、コロンビアのコーヒー生産者も参加している。 国によって、コーヒー豆の栽培方法はは異なり、質問は絶えない。 ジャカランダ農場のコーヒー樹は背丈が高い。コロンビアから参加したラモンさんが質問する。 「コロンビアではコーヒー樹を切って背丈を短くして収穫しやすくしていますが、 ここではどうやって収穫するのですか」 カルロスさんが答える。「ここでは、コーヒー樹に梯子をかけて収穫します」
カルロスは土の説明に最も多くの時間をかけた。 ジャカランダ農場での有機コーヒーの栽培を、文字通り根元から支えているジャカランダ農場の土。 落ち葉が降り積もり、たくさんの養分が含まれるその土は、化学肥料を使わず、地道に堆肥を施し、 除草剤を使わず鎌で草を刈りながら多くの時間をかけて育くまれている。 それはカルロスの自慢の土だ。