月刊Gift PREMIUM 2022年12月号 No.639
特集 今、目覚める「デカフェ」市場
発行所:株式会社ビジネスガイド社
一番人気は「カフェインレス」 オーガニック・フェアトレードの先駆者 (株)ウインドファーム
オーガニック(有機栽培)のコーヒーを専門に輸入販売を行う(株)ウインドファームで最も売れているのが「有機栽培 メキシコ産カフェインレスコーヒー」。メキシコの生産者とカフェイン除去工場、そして日本のウインドファームの全てが各国の公式な有機認証を受けた、正真正銘の「オーガニック」なカフェインレスコーヒーだ。生産者の支援から消費者への安全でおいしいコーヒーの提供まで、包括的に関わる同社の取り組みを紹介しよう。
オーガニック・森林農法・フェアトレード、生産者と手を取り合い合理的に安全と品質を実現
同社は2013年より、メキシコ産の有機カフェインレスコーヒーを継続して販売している。有機認証には長期間の手続きや高い費用を要し、コーヒーの場合は商社などが「割に合わない」と撤退するケースも多かった。が「カフェインレスでオーガニックなものはなかなかない。大規模な展示会でも年々反応が良くなっている」(同社の岩見知代子氏)と、約10年続けてきた手応えは確かだ。
カフェイン除去にはメキシコ発の「マウンテンウォーター製法」を活用。旨味成分で飽和させた水の中に生豆を入れると、浸透圧で豆からカフェインのみが流出し、うまみ成分がとどまる。化学薬品を使わず、おいしく安全なカフェインレス豆に加工することができる。「『おいしくない』というイメージは横に置いて、まず試していただけたらと思います」(岩見氏)と、通常のコーヒーと遜色ない味わいも好評だ。
メキシコでは現地の研究者と一緒に「森林農法」にも取り組む。コーヒーと同じ農場内でシナモンやオールスパイスなどを同時に栽培することで、豊かな土壌が生成する。また病害虫の拡散が抑えられ、生産者の経済的安定につながる。農薬や化学肥料が不要になり、安全で良質なコーヒーを収穫することができるのもメリットだ。
同社は前身の有機農産物産直センターから30年以上、一貫してフェアトレードの有機農産物を販売してきた。生産者との深いつながりは、海外でも事例として多く紹介されている。また購入客にも生産者とのつながりを意識する人々が多いという。現地で災害があった際に呼びかけると、寄付に協力したりメッセージを送ったりと、アクションを起こす人も現れている。
「おいしい有機カフェインレスコーヒー」をより多角的に届けたい
受注後に焙煎し新鮮な豆を届けることや、深煎りでも一般的なものより浅くとどめ素材の味わいを残すことも、おいしさの秘訣だ。
現在は成城石井、オイシックスなどが取り扱うほか、大手企業の社員向けコーヒーにも採用されている。「妊娠中の方などにとどまらず、どんな方にも飲んでいただきたいと思います」(岩見氏)。
コントは様々な地域のカフェインレスコーヒーを揃え、バラエティを増やしていく。コーヒーを通して多様な人々と各地の生産者をつなぐ、壮大なストーリーの展開に期待したい。