コーヒー 途上国から輸入(読売新聞:2018/09/08 掲載)

読売新聞(2018/09/08)に掲載された記事をご紹介します。
https://www.yomiuri.co.jp/kyushu/feature/TO002179/20180908-OYS1T50025.html

コーヒー途上国から輸入、フェアトレード自立支援…中村さん有機農業普及に力

 途上国から有機栽培のコーヒー豆などを輸入する「ウィンドファーム」(福岡県水巻町下二西)は、適正価格で購入して、現地の人たちの自立を支援するフェアトレードに取り組んでいる。自然を守る農業の大切さを伝える活動もしており、代表の中村隆市さん(62)は「取り組みを始めて31年。これからも未来につながる事業を進めたい」と意気込んでいる。

 中村さんは高校卒業後、映画制作を学び、水俣病のドキュメンタリー映画を見て環境問題への関心を深めた。福岡県で生協職員として働いた後、1987年に有機農産物とフェアトレード産品を扱う店を開いた。

 しかし、間もなく、劇症肝炎で入院。生死の境をさまよったが、無農薬野菜と玄米食の食事療法などを取り入れた福岡市の医療機関に転院。4か月で退院し、自宅療養を続け完治した。病気を機に、安全性の高い食の大切さを再認識したという。

 88年、事業をコーヒーに絞って再開。当時、途上国でのコーヒー豆の栽培は子どもたちが働き、大量の農薬を使うケースが多かったことから、「途上国に有機農業を広め、子どもたちの置かれた状況を改善したい」と思いたったという。

 国内で無農薬農法によるコーヒー豆を求める人たちと協力し、ブラジルから輸入を開始。コーヒーのおいしさを引き出すため、自社焙煎ばいせんも始めた。

 98年にはコロンビアで開かれた国際有機コーヒーセミナーに招待され、フェアトレードの取り組みについて講演した。その後、エクアドルなどでも講演。ブラジル・マッシャード市からは、有機農業とフェアトレード普及に貢献したとして、名誉市民賞を贈られた。

 数年前からは紅茶、ハーブティーも扱っている。有機栽培されたものを、現地の生産者が決めた価格で購入しているため、こうした生産者が年々増えているという。

 「来月からは有機カカオ豆も輸入する。コーヒー豆同様、入荷後に注文を受けて焙煎するので、香ばしさは格別。生のカカオ豆を自分で焙煎し、チョコレートを作る教室も開催し、ファンを増やしたい」。中村さんは意気込みを新たにしている。

(柿本高志)

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