インタグの次に訪問したのは、バイア・デ・カラケスという海沿いの町でした。町がエクアドルで2番目の「エコシティー宣言」(最初の宣言をしたのは、アウキ市長のコタカチ市)をするイベントに「マングローブ植林行動計画(代表・向後元彦)」という日本のNGOの人たちと参加するためでした。ゴミの分別や古紙のリサイクル、有機農業の普及などに孤軍奮闘で長年取り組んできたニコラさんという女性は、市長が「エコシティー」を宣言したこの日を「人生最良の日です」と涙ぐんでいました。これらのイベントに参加していた女性の環境大臣は気さくな人で、私たちと共に泥だらけになりながらマングローブの植林をしていました。後で聞いたところ「市民運動出身の大臣」だそうです。
この町の海岸沿いには、かつて豊かなマングローブが生い茂っていたのですが、輸出用エビの養殖のためにエビ池がマングローブの森を伐採して作られるようになり、今ではかつての森の90〜95%が失われました。世界最大のエビ輸入国である日本は、マングローブの破壊に関心を持つ必要があるようです。
この土地でエビの養殖をやっているセサール氏は、残っているマングローブの保護とエビ池内外にマングローブを再生することや抗生物質などの薬を使わない養殖方法を研究している人です(一般のエビの養殖では多量の薬剤を使用しています)エビ池の近くには農場を持ち、有機農業の研究もしていました。
セサール氏曰く「失業率の高いエクアドルにとって、エビの養殖、加工、輸出は重要な産業です。多くの人がこの仕事で生活しています。大切なのはマングローブの保護と回復、そして、近代農業のような農薬や化学肥料を多用したような養殖ではなく、有機農業のような自然と調和したエビの養殖方法を確立することです」「今年の7月位からドイツの消費者団体に、ここの『有機エビ』を販売し始めます。中村さんがやるんだったら、日本での販売を任せますから、やってみませんか」とのことでした。森林と海とはつながっています。豊かなマングローブや森林が豊かな海を育てます。エビや魚など海の幸が大好きな私としては、心動かされる提案です。